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投資信託とは何かわかりますか?投資信託はリスクがあるからやらない。と投資信託のマイナス面だけを見て、実際のことはわからずに、もっとリスクのある投資をしている人もいます。
投資信託はきちんと理解していれば、リスクへの対処が可能です。「リスキーで怖い」と言うのはイメージだけで実際は違います。
そもそも投資は自分の資産を運用して、増やしたいと考えることがほとんどだと思います。
今回は、資産運用の中でも投資信託に焦点を当てて解説していきます。はじめて投資をやりたいと考えている人にもわかりやすくを心がけますので、最後まで読んでいただければ幸いです。
投資信託とは?
投資信託とは、多数の投資家から集められた資金を一つにまとめ、基金にして収益を還元することを言います。一般的にファンドと呼ばれるものです。
このとき、集められたお金は投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。
運用の成績によっては利益を上手く得ることもでき、元本を下回ってしまい損をすることもあります。投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じて投資家に返ってきます。
このように、投資信託は元本保証や元本確保でもない投資方法となっています。
投資信託の仕組み
投資信託は「運用会社」で作られ、「証券会社や銀行」などで販売されます。
販売された投資信託を何人もの「投資家」が買うことで多くのお金を集めます。投資家から集められたお金は、「信託銀行」などで一つにまとめられて管理され、「投資信託会社」が運用方法を決めて、お金を管理している「信託銀行」に指示します。
「信託銀行」は、集めたお金を「投資信託会社」の指示に従って、株や債券の売り買いをして損益を得ます。
投資信託は、上記の通り
- 投資信託を作り、運用方法を決めて指示する「投資信託運営会社」
- 証券会社や銀行で投資信託を販売する「販売会社」
- お金をまとめて運用する「信託銀行」
- お金を投資する「投資家」
の3社と投資家で成り立っています。投資信託は、それぞれを専門家が行うので失敗のリスクは多少付きまといますが、知識に自信のないうちは安心して任せられます。
投資信託のメリット
投資信託のメリットは一つひとつが連鎖して作用しているのが特徴です。投資をするうえで重要になってくるので、しっかりと理解しておきましょう。
少ない費用で始められる
「1万円からでもあなたも投資家になれる!」などと言ったCMや広告を見たことはないでしょうか?
投資信託はこうした手軽で始めやすい金額での資産運用ができます。普通だったら、株や債券はまとまったお金がなければ始められません。
しかし、投資信託は、はじめての資産投資でも多額の資産を投資する必要はありません。少ない費用ではじめられる様になっています。
基準価格と透明性
投資したものは基準価額になるので、毎日変動した取引価格を見られます。取引価格を確認できることもそうですが、取引ごとに監査法人による監査を受けるため、不審な取引や虚偽を行えません。正しい情報をいつでも見られるのは大変強みになります。
分散投資によるリスクの分散
上記のメリットがあることで実現できるのが、分散投資です。
投資は個人でやろうとするとどうしてもお金がかかってしまいます。それは投資をする際に、一つの商品だけに投資をすると失敗した時のダメージが大きすぎるので、複数の商品に投資してリスクを分散させなければならないからです。
投資信託は、少量の資金を集めて大きな資金にして運用します。その資金は当然多額な資金となっているので、一つの商品だけではなく多くの商品に分散させて投資をします。よって、失敗するリスクを軽減できるのです。
【重要】プロに任せられる安心感
投資と一言で言っても、株式・為替・不動産・国債・先物・原油など多岐に渡ります。
さらには、投資にはたくさんの難しい専門用語がゴロゴロ転がっており、投資を始める際や始めてからも付きまとう大きな問題になります。
基本的に専門的に学ばなければ全てを把握することは難しいでしょう。
また投資先は日本だけでなく、欧米・新興国など海外にもあり、全てが揃って狙い通りに上がるということはなく、相対的に指標が動くことが多いです。
リスクを分散させつつ適切な投資先に資金を入れることが必要とされていますが、全てを把握するのが大変なだけでなく、リスクヘッジをしながら、個人で投資をしていくのは資金的にも非常に厳しいです。
しかし、投資信託はその道のプロが運用管理をしてくれます。
個人ではなかなか手が出せない海外のものまで手掛ける会社もあるほどです。そんなプロが自分の代わりに運用管理してくれるとなったら、これほど心強いことはありません。
投資信託のデメリット
投資信託は元本の保証はありません。そして、基準価額になるので、毎日価格が変動します。当然、元本より価値が下がることもあります。
投資信託のデメリットについては以下の三点が挙げられます。
価格変動のリスク
株は需要・政治・経済・企業の情勢によって価値が左右されます。
価値が下がってくることを予想したうえで取引をしなければいけません。
国内の株はニュースなどを見ていると政治・経済・企業の情勢と株価の変動を取り上げているため、価格の変動を把握しやすくなっています。
しかし、海外の株となるとどうしても情報不足になってしまい、注意が必要です。さらに、英語などが必須となってくる場合があるので情報を得るのもハードルが高くなってしまいます。
金利変動のリスク
債券は金利の変動によって価値が左右されます。
今後どのように変動するかが不確かなため、損をする可能性を秘めていることになります。
金利が上がると債券の価格が下がります。逆に、金利が下がると債券の価値が上がります。
また、満期までの期間が長いほど、金利変動の影響は大きくなります。
為替変動のリスク
海外の商品は為替レートの変動によって価値が左右されます。
基本的には、円高になればマイナス、円安ならプラスになります。
日本円と海外の為替の変動によって発生するリスクなので、日本以外での商品を取り扱う場合は対策が必要になります。
信用のリスク
債券などを発行する国や企業などが財政難・経営不振(倒産)などで、元本や利息、投資信託の信託期間が終了したときに返還される資金(償還金)をあらかじめ決められた条件で支払えなくなってしまうリスクです。
ある程度、信用のある国や企業へ投資すれば安心ですが、その分、利益が出るまでに時間がかかってしまいます。
【重要】手数料がかかる
投資信託は自分で投資を行うわけではなく、専門の企業に運用してもらう分、手数料が発生してしまいます。
投資信託には、販売・運用・管理の三社が欠かせない存在だということは先ほどの「投資信託の仕組み」で説明しました。手数料はそれぞれの企業に対して発生してしまいます。
さらに手数料で注意したいのは、どこで投資信託に投資するかという点です。投資信託は銀行、証券会社、ネット証券など色々なところで販売されており、それぞれ手数料が違う事です。
日本の投資信託の手数料は海外に比べて高い傾向にあり、手数料を甘く見て、運用状況は黒字だが、手数料を引いたら赤字だったなんてことも実際あり得ます。
なるべく手数料が安いにこしたことはないですが、初心者だと何もわからず銀行でオススメされるがまま投資を初めてしまう人も多いです。
投資信託をする際には、販売買い付け手数料・信託報酬・管理手数料(監査報酬)・信託財産保留額(解約手数料)などの手数料 やメリットを調べて比較して上で、どこで投資信託に投資するかを決めましょう。
銘柄選びが大変
投資信託協会の調査によると、2023年11月末時点における公募投資信託(一般の投資家が買える投資信託)は5,963本あります。
証券会社によって取扱本数は異なりますが、銘柄によってリスク・リターンはさまざまです。この中から自分に合った銘柄を選ぶのは、初心者にとってかなり難しい可能性があります。一方、預金や国債などの商品であればここまで銘柄数が多くないため、さほど商品選びに困ることはないでしょう。
証券会社がお勧めしている銘柄が必ずしも良い銘柄とも限りません。というのも、手数料の高い銘柄を意図的にすすめている可能性もあるからです。投資信託で資産運用をする際は、自ら積極的に情報収集し、複数の銘柄を比較・検討する必要があります。
タイムリーに売買できない
投資信託は株式とは違って、「ブラインド方式」が採用されているため、リアルタイムで売買ができません。
ブラインド方式とは、投資信託の基準価額を公開せずに取引をする方式を指します。つまり、注文した時点では、投資信託の価格はわからないというわけです。
株式であれば値下がりしたら買い、値上がりしたら売るといった取引を繰り返すことで短期間で利益を積み重ねることも不可能ではありません。
一方、投資信託の場合はそもそも注文した時点での価格がわからないため、前日よりも値下がりしているのか、値上がりしているのかを判断するのが難しくなります。基準価格が1日で急騰・急落するケース自体少ないため、投資信託は基本的に短期投資には向かない金融商品といえるでしょう。
投資信託を始める前に理解しておきたい注意点
メリットやデメリットに関しては上記に記載したのですが、それ以外にも理解しておかなければならないことがいくつかあります。すでに知っている方もいるかもしれませんが、確認していきましょう。
長期的な投資が前提
投資と言えば株式などの様に、価格が高騰したら価格が下がる前に売却、元本と高騰した分の差が利益になるのが一般的かと思います。
しかし、投資信託は短期間で利益を出すのではなく、長期投資でリターンを出す仕組みになっています。
長期投資のメリットは価格の変動が小さくなることで安定した運用ができるようになるということです。また、短期間での投資になると手数料の方が多くかかってしまう傾向になるのでオススメできません。
毎月分配型には注意が必要
投資信託は運用で得た利益や配当金などを、顧客に還元するために分配金を払います。
毎月分配型の投資信託の場合、毎月安定した収入を得られる可能性が高いというメリットがあります。
しかし、利益だけではなく運用投資を切り崩して分配金を払う投資信託の場合、時間が経過するにしたがって運用資産が減ってしまうことになります。
そうなると、長期的に良い運用成績を得られなってくるので、長期間、資産を増やしていきたい場合は、できるだけ分配金を再投資できる投資信託を選ぶことが大事になってきます。
フル投資型
フル投資型の投資信託は、特定の投資対象に対して、ほぼ全額を相場の善し悪しに関わらずに投資する方法を言います。
上昇相場であれば利益は大きくなり、下落相場では利益がなくなって行きます。
投資信託と預金の違い
投資信託は銀行で買うことができるので、どうしても預金と混同して覚えてしまっている場合があります。投資信託と預金、この二つの違いについて紹介します。
元本の保証について
銀行預金は銀行が破産しても、預金保険機構が1000万円までの元本と利息を保証してくれます。しかし、投資信託は株式などの投資を間接的に行います。
個人で株式の投資を行ったことがある方はわかるかと思いますが、株式などの投資には元本保証がありません。よって、投資信託にも元本保証はありません。
利息と収益分配金
銀行預金はあらかじめ決められた利率で利息を受け取れます。
よって急激に高騰したり、下落したりがなく安定したものになっています。
一方、投資信託は運用により受け取れる収益分配金が変わり、価値も高騰、下落を繰り返すため銀行預金よりも安定はしません。
利回り
銀行預金は利回りが小さく、投資信託は利回りが大きいです。
その背景には、銀行預金はお金が余っている・リスクの小さく利回りの小さい国債を購入しローリスクローリターンである。
投資信託はお金を必要にしている会社に損を覚悟で株式や債券を発行運用し、ハイリスクハイリターンを狙っていることがうかがえます。
投資信託を始めるならNISAも活用しよう
投資信託を始める際は「NISA」も活用しましょう。
NISAとは、投資で得た利益に対して税金がかからなくなる制度のことです。通常であれば投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座を使って投資すれば、どんなに利益が出ても税金がかからなくなります。そのため、効率よく資産形成を行うことが可能です。
2024年からは従来の制度が刷新され、新しいNISA制度が始まります。
NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの非課税枠があり、それぞれ非課税で投資できる上限額に違いがあります。どちらの枠でも投資信託に投資することは可能ですが、つみたて投資枠の場合は、金融庁が厳選した「低コストで長期投資・積立投資に向いている」約200本の商品のみに投資できるようになっています。
初心者でも比較的投資しやすい銘柄がそろっているため、もし銘柄選びが難しいと感じる場合は、つみたて投資枠を使って投資信託を始めてみるのも一つの手です。
投資信託は怖くない!
投資信託についてここまで読んでみてどうだったでしょうか?
投資信託ははじめからリスク管理を前提にしています。そのため、デメリットや注意点に対しての対策などができるのです。
対策ができるということは、投資初心者の方や大事な資産を減らしたくないという方が、安心して最適な投資を行えるということになります。
怖がらずに資産形成をしていこう
投資信託は利益が出るまでに時間のかかる投資です。
ということは、購入した金額よりも価値が上がるまでの期間、時間をかけて待ち、確実に利益を得られるタイミングでの売却が株式などの変動が激しいものよりも容易であると言うことです。
このことから、「置いておくだけで増えていく」と言う方も多くいます。
実際には放置しておくだけではリスクがあるのでオススメはしませんが、はじめてで何をやるにも時間がかかってしまううちは投資信託で運用をプロに任せ、辞めるタイミングだけをうかがうのも良いかと思います。
さらに、はじめるにあたっての金額も商品によって異なりますが、100円からの投資も可能になっています。
本来は、何百万と必要になってくる投資が、ここまで手軽にできるのです。投資信託はまさに、資産形成の入門として活用できるのではないでしょうか。