個人向け社債と株式の違いとは|メリット・デメリット、購入方法の基礎知識

メガバンクの定期預金に100万円預けても、超低金利の0.01%程度では、利息はわずか100円ほどです。

このような状況の中「個人向け社債」の金利に注目する人が増えています。人気が高く早期に販売終了になることも多い個人向け社債。その基礎知識やメリット・デメリット、購入する手順について解説します。

個人向け社債と株式の違いとは

社債は、企業が事業資金を調達するために発行する債券です。企業は社債の購入者から資金を借り入れる形になります。

企業の資金調達には株式を発行する方法もありますが、株を購入した場合は出資者になる一方で、株価の変動リスクも負うことになります

個人向け社債は購入単価が1万円、10万円という価格帯の銘柄もあり、毎年、利息を受け取ることができ、そして償還期限には額面金額が返済されます。

《個人向け社債 募集案内の例》

  企業名(証券コード)第〇回社債
・発行額=□□億円
・表面利率=年0.81%
・払込日(発行日)=10月24日
・利払日=毎年4月25日および10月25日
・償還期限=20△△年10月25日(10年債)  

例えば額面金額100万円、表面利率(クーポンレート)2%の場合、利息は1年間に2万円(半年毎に1万円ずつ)となります。

この「利子所得」は20.315%の税率(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)で源泉徴収となります。ただし社債は、売却益等が非課税扱いとなるNISAの対象外ですので、その点は注意しましょう。
※金融庁NISAの基礎知識「NISAで取引できる金融商品」

個人向け社債の種類

社債には「私募債」と「公募債」があり、一般的に「個人向け社債」というと「公募債」を指します。

まず、私募債とは、特定の人や会社だけに購入してもらう社債のことで、新会社法施行によりすべての企業で発行が可能となりました。ベンチャー企業などの事業資金調達に活用されています。

一方、公募債とは購入者を広く募集する社債で、大きく分けて「普通社債(SB)」「転換社債(CB)」「ワラント債」「劣後債」「電力債」の5種類があります。

普通社債(SB)

一般的に「社債」というと、「普通社債(Straight Bond)」を指します。信用力の低い企業が発行する社債は利率が高くなる傾向があります。

転換社債(CB:Changeable Bond:転換社債型新株予約権付社債)

転換社債は一定の価格で社債を株式に転換できるという条件が付いた社債です。株式へ転換できるメリットがあることから、利率は普通社債よりも低く設定される傾向にあります。

ワラント債(新株予約権付き社債)

ワラント債は、一定の価格で株式を購入できる権利が付いた社債です。上述の転換社債は株に引換えが可能な社債ですが、ワラント債は資金を追加して株を購入できる権利となります。株の購入権利だけを第三者へ売却することも可能です。

劣後債(劣後特約付社債)

劣後債とは、事業の破綻などが発生した際に普通社債よりも元本・利息の支払い順位が低く設定された社債です。弁済順位が低い代わりに比較的高い利率が設定されています。

電力債

電力債は、設備投資に莫大なコストがかかる電力会社が発行する社債です。

以前までは「電気事業法」により一般担保が付けられていました(一般担保付社債)が、2020年4月から担保に係る規定は廃止されています(経済産業省2020年3月27日ニュースリリース)。

現在は経過措置により、一部の事業者に限って担保付社債が発行されています。

個人向け社債のメリット

◎社債は国債や定期預金と比較して高利率

社債の利率は発行企業が定めることができ、投資家に社債を購入してもらうため高めに設定されています。

企業にとっては金融機関から融資を受けるよりも低利で資金を調達できるというメリットがあります。

◎株式のような値動きを追う負担が少ない

企業の信用リスク等をしっかり調べた上で購入を検討する必要がありますが、社債は株式のように日々、価格の変動があるわけではありません。

常に値動きを追う負担が少なく、見守り型の投資が可能となります。

個人向け社債のデメリット

◎募集期間が短い

社債は募集期間や発行数が限定され、抽選方式の銘柄もあります。先着順で完売になることもあるため、購入のチャンスを逃さないよう情報収集していきましょう。

◎債務不履行(デフォルト)のリスク

比較的安定した収益を得られる個人向け社債ですが、民間企業の発行であるため経営状況が変化する可能性もあります。

過去には経営破綻により社債の債務不履行も起こっています。とくに2010年1月の日本航空の経営破綻は、大企業であっても業績等の事前確認の重要性を伝える事例だといえます。

企業の格付け情報について

社債を発行する企業の経営状況について、事業内容や財務状況等とともに重要となるのが、企業の格付け情報です。

アメリカの2大格付け機関「S&P(スタンダード&プアーズ)」「Moody‘s(ムーディーズ)」や日本国内の「日本格付研究所(JCR)」などがあります。JCRは、金融庁の登録を受けた第1号の格付け機関です。

格付け機関投資適格
S&P(スタンダード&プアーズ)アメリカ「BBB」まで
Moody’s(ムーディーズ)アメリカ「Baa」まで
フィッチ・レーティングス米・英「BBB」まで
日本格付研究所(JCR)日本「BBB」まで
格付投資情報センター(R&I)日本「BBB」まで

各機関ごとに格付け表示が多少異なるものの、投資に適しているとされる「投資適格」の目安があります。

格付けが低い企業の場合、利率を高めに設定する傾向もあるため、業界の動向など周辺の情報も確認しましょう。

個人向け社債の購入手順

社債は発行を引き受けた証券会社のみが窓口となり、その証券会社の口座を通して購入します。社債の購入を検討している場合は、複数の証券会社に口座を開設しておくとよいでしょう。

《社債を発行している企業と証券会社の例》

個人向け社債の例取り扱い証券会社
マネックス債マネックス証券
ソフトバンク債SBI証券
SBI際SBI証券
中部電力野村証券、大和証券、みずほ証券等
イオンモール株式会社SMBC日興証券、みずほ証券等

例えば、マネックス債はグループ企業のマネックス証券のみが窓口となっていますが、企業によっては複数の証券会社が担当しています。

社債の募集案内や企業のリリース情報に担当証券会社名が記載されていることがありますので、発行事例を参考にしてみましょう。

(1)証券口座を開設する

社債の購入や利息の受取りのため、証券会社に口座を開設します。

インターネット経由で開設する場合は、運転免許証などの顔写真付き本人確認書類の画像をアップロードできるよう用意しておきましょう。

開設の段階でマイナンバーカードの写しが義務づけられている証券会社もあります。

(2)個人向け社債の銘柄を探す

証券会社に口座を開設したら、簡易書留等で住所確認が行われるなど、日数のかかる場合もあります。

購入できる個人向け社債を検索しながら利率や償還期間、企業の信用度について検索しておくとよいでしょう。

口座開設関連の手続きが完了したら、取引をスタートできます。

(3)社債の購入申し込み

購入銘柄が決まったら購入資金を用意の上、申込期間内に証券会社に申込みます。申込みが完了しても、必ず購入できるとは限りません。

インターネット経由で申し込んだ場合、受付が完了すれば「申込中」等の表示になり、後日、購入できた場合は「約定」、出来なかった場合は「約定できず」等の表示となり、成否が確定します。

投資信託を通じて社債を購入する方法も

社債は投資信託を通じて購入する方法もあります。債券型の投資信託では、さまざまな債券を組み合わせた商品もあるため、多くの社債に分散投資も可能です。

投資信託であれば少額からの購入も可能となります。希望の社債を購入できなかった場合などに活用を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考】個人向け社債を解約したい時は

社債には中途解約の制度がないため、現金化したい時は、購入した証券会社による買取りで売却をすることになります。

売却時の価格は、償還日までの残期間や市場での価値から証券会社が独自に決定するため、希望の価格になるとは限りません。

そのため社債は購入前に十分検討をした上で、余裕資金での購入が適しています。購入できた場合は基本的に償還日まで保有する方針が良いといえるでしょう。

まとめ

個人向け社債は利率も高く、魅力的です。ただし他の投資商品と同じように、メリット・デメリットがあります。

利率の高さだけにとらわれることのないよう、企業の動向やリスク面も理解したうえで購入を検討するようにしましょう。

スポンサーリンク