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連載企画:つみたてNISA/iDeCoはなんのためにあるの?そもそもどんな制度なの?
▶つみたてNISA・iDeCoの非課税制度ってどういうこと?
増やすのが資産運用ですが、その反面減るリスクもあります。
減るリスクには、以下の2つがあります。
- 購入価格価値が減る
- 積立元本が減る
価値が減るインフレリスク
ある金額(例えば800円)の昼食で前と同じメニューの値段が上がり食べられなくなったなど、物価が上がることをインフレと言います。
インフレになると、同じ金額では同じ商品を購入できなくなり、お金の価値が下がります。これはつみたてNISAやiDeCoだけでなくすべての貯蓄に悪影響を与えます。
現在、日本政府(日本銀行)は政策として2%のインフレを目標にしています。
もし、政府の目標通りになった場合、貯蓄の収益率が2%以上ないと資産が増えているように見えてもその価値が減ってしまいます。
ですが、2000年以降、先進国では大きなインフレは発生していません。
日本と米国のインフレは、以下のように推移しています(2019年はIMFの推計です)。
年 | 日本 | 米国 |
---|---|---|
2010年 | -0.72% | 1.64% |
2012年 | -0.06% | 2.07% |
2014年 | 2.76% | 1.62% |
2016年 | -0.11% | 1.27% |
2018年 | 0.96% | 2.44% |
2019年 | 1.07 | 2.00% |
インフレ率は、基本的に為替(円安)と原油価格に連動しています。
インフレ率の低い日本などの国は、米国などの高い国に比べ、お金の価値は上がります。
経済理論から言えば、円高になる傾向が高く為替からのインフレは起こりにくいです。
原油については、日本の原油の87%を輸入している中東で戦争が起こり、原油を輸入できなくなるようなことがなければ、インフレは高まらないと予想されています。
現状ではインフレは資産を減らす大きなリスクとは言えませんが、それでもつみたてNISAやiDeCoでは最低1〜2%、資産を増やすには3〜5%を目標にしたいところです。
元本が減るリスク
インフレは、個人では防げません。できるのは、インフレ率より高い収益率で運用することです。
これに対して元本が減るリスクは、その人がどのような貯蓄方法をとっているかによりかわりにます。
ハイリスクハイリターンと言われるように、得られる収益の大きな資産運用は逆に元本を減らしリスクも大きいと言えます。
公的年金や民間保険と異なり、つみたてNISAとiDeCoは金融商品を自分で選択し運用(成果をチェックして金融商品の見直し)して増やしていきます。
預貯金や変動保険や外貨建保険を除く保険商品、契約時にリターンが固定していますので元本割れのリスクはありませんが、ローリスクな分、年利0.01%から0.001%とローリターンになります。
目的によりますが、お金を増やすことが目的なのであれば、原則投資信託商品を選ぶことになります。
リスクをなるべく抑えるとしたら、どのファンドを選ぶか?ポートフォリオの内容に気を配ってみてください。
リスクが低いのは、iDeCoとNISAどちらでしょうか?
より長期に、よりコツコツと積み立て投資が出来るiDecoの方がリスクが低いかもしれません。
「元本割れが起きるリスクがあるから」資産運用を始める事を渋っている人の1人です。
少し視点を変えてみてください。始められないまま、年1%ずつでもインフレしていったら、元本の価値は下がり、実質的には元本割れしていることになります。
投資商品のリスクの種類
一般的に投資商品には、以下に示すリスクがあります。
商品を選択する前にリスクをしっかりと知る必要があります。
株価変動リスク
株の価格の変動リスクです。
特定の株に投資するよりは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動するインデックス運用のリスクが低いと言われています。
信用リスク
株式や債券を発行している国や企業が、元本や利息を返済できなくなるデフォルトリスクです。
非常に高い高金利を狙わないので、つみたてNISAやiDeCoの金融商品は信用リスクは低いと言えます。
流動性リスク
金融商品を換金できないリスクです。
売りたくても買い手がいないので、売れずにお金に換えられない状況が生まれてしまうことです。
つみたてNISAやiDeCoの金融商品は、長期運用をすることから流動性リスクは低いと言えます。
金利リスク
金利の変動によって、債券の市場価格が変動するリスクです。
金利が上昇すると、債券価格は下落し、金利が低下すると、債券価格は上昇します。
為替変動リスク
これはご存知の人も多いと思いますが、外貨建ての円換算による金融商品の価値が変動するリスクです。
例えば、換金時に円高になると外貨建商品の価格が下がり、元本割れのリスクも出てきます。
為替は色々なサイクルで変動します(複数のサイクルの和になります)。
日々や月などの小さなサイクルでなく、数年以上の比較的大きなサイクル(長期間積立)で対応するのが効果的です。
金融商品の選択
リターンを高く求めるとリスクも大きくなります。
金融商品のリスクを減らしリターンを増やすには、1つの金融商品に全額を投資するのではなく、リスクの少ない商品と高い商品を組み合わせ(分散投資)て長期間積立投資することが基本です。
投資信託商品について、そのリスクとリターンの目安を以下に示します。
投資信託商品 | 期待収益率 | リスク変動幅 |
---|---|---|
株式、不動産 | 5〜7% | ±40〜50% |
先進国債券 | 2〜3% | ±20%程度 |
国内・先進国債券 | 1〜2% | ±4〜10% |
新興国債券 | 4〜6% | ±30%程度 |
つみたてNISAやiDeCoは、運用益が非課税です。
さらにiDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となります。
節税効果も考えると、他の貯蓄法に比べて資産形成で減る可能性は少ないと言えます。資産形成は、つみたてNISAやiDeCoから始めるのがリスクが少なく効果的です。
次回はつみたてNISAとiDeCoのメリットについてお話しします。
▶ つみたてNISA/iDeCoのメリットと投資信託の仕組み
まとめ
- 〇積立元本が減る、購入価格価値が減るリスクがある
- 〇つみたてNISA/iDeCoもインフレの影響は受ける
- 〇日本は円高になる傾向が高く、為替からのインフレは起こりにくい
- 〇インフレは資産を減らす大きなリスクとは言えないが、つみたてNISA/iDeCoでは最低1~2%で運用するべし
- 〇資産形成はつみたてNISA/iDeCoから始めるのがベスト