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連載企画:つみたてNISA/iDeCoはなんのためにあるの?そもそもどんな制度なの?
▶前回の内容:つみたてNISAの始め方|口座開設から商品の選び方まで
iDeCoは、人生100年時代に向けた長期間の資産形成を行う個人型確定拠出年金です。
確定拠出年金とは、掛金が一定で年金額が変わる年金制度です。
(掛金は年1回変えることができます)
iDeCoは以下の特徴を持つ年金です。
- 自分で設定した掛金を積立
- 自分で選んだ定期預金・保険商品・投資信託商品で運用
- 60歳以降に年金受け取り
iDeCoは、自分で有利な商品を選ばないと資産形成に役立ちません。
また、年金制度なので基本的に60歳未満で解約・現金化はできません。
iDeCoの加入資格と掛金
iDeCoは、国民年金や厚生年金とは別に年金を受け取る制度です。
加入資格は、公的年金の保険料を支払っている20歳以上60歳未満の方で、加入期間は基本的に10年以上、最大加入期間は40年です。
掛金が全額所得控除の対象となるため、以下に示すような金額制限が設けられています。
- 〇第1号被保険者
- 月額68,000円(国民年金基金の掛金、付加保険料を含む)
- 〇厚生年金基金等の加入者
- 月額12,000円
- 〇企業型年金のみの場合
- 月額20,000円
- 〇厚生年金基金・企業型年金なしの場合
- 月額23,000円
- 〇公務員・私学共済制度加入者
- 月額12,000円
- 〇専業主婦等第3号被保険者
- 月額23,000円
iDeCoを始めるには
iDeCoに加入するステップは、以下になります。それぞれ説明していきます。
- 掛金を決める
- 運用を考える
- 金融機関を選ぶ
- 運用商品を選ぶ
掛金を決める
iDeCoの掛金の上限は、上に記載したように公的年金の加入状況により変わります。
掛金は、月々5,000円以上で1,000円単位で上限までの金額を決めます。
掛金の金額は、1年に1回変えることができますが、基本的に60歳にならないと引き出せないので、無理なく継続できる金額で運用するようにしましょう。
掛け金は収入のどの程度までの金額にするのがいいでしょうか。
その方の生活環境、収支の内容によって全然違ってきます。初めて始める時は収入の1割以内に収まるくらいからが良いと思います。
運用を考える
iDeCoは公的年金や民間の個人年金保険と違い、運用を自分で行う制度です。
普通預金も選択できますが、現在の金利0.001%では、1万円を40年預けると元本は480万円になりますが、利息は724円だけです。
銀行に預けるだけでは資産は増えないので、資産を増やすためには運用の学習が必要となります。
- リスクの種類と内容(金利・為替・信用・価格変動・インフレリスクなど)
- リスクとリターンの関係(ハイリスクハイリターンなど)
- 長期運用の効果
- 分散投資の効果
金融機関を選ぶ「口座開設」
iDeCoの口座を開設する金融機関を選びます。
金融機関は、以下から選べます。
口座を開設するために、銀行か証券会社の窓口に行ってください。ネット系の銀行、証券会社でも開設が出来ます。
銀行 | イオン銀行 りそな銀行 スルガ銀行 ゆうちょ銀行 三井住友銀行 三菱UFJ銀行など |
証券会社 | 楽天証券 SBI証券 松井証券 大和証券 マネックス証券 野村證券など |
口座は1つしか開設できませんが、つみたてNISAとあわせると複数口座(2つ)開設できます。
金融機関は、以下を考慮して選びます。
- 魅力的な商品があるか
- サービスが充実しているか
- 手数料はいくらか
運用商品を選ぶ
運用商品は、以下から選びます。
元本確保型商品
元本確保型商品は、元本が保証され所定の金額が上乗せされます。
代表的な商品に、定期預金や保険商品があります。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。
運用益は、市場環境や経済情勢などで変動します。
うまくいけば大きな運用益を得られることもありますが、元本割れのリスクもあります。
長期積立の分散投資をすれば、収益が安定しばらつきにくくなる特徴があります。投資信託の種類には、以下があります。
- 国内債券型
- 外国債券型
- 国内株式型
- 外国株式型
- 複数の資産を組み合わせたバランス型
- 不動産が対象の不動産投資信託(リート)など
商品を選ぶ際は、過去の運用をみて、成長してきている、これからも成長出来そうかどうか?というポイントを基準にしてみてください。
自信のない方は資産運用、資産形成を得意としているファイナンシャルプランナーに相談するのが良いと思います。
iDeCoの運用方法
元本の保証されている定期保険の金利は、0.03%〜0.01%ぐらいです。
この金利では、長期間の積み立ても元本は増えていきますが収益はほとんどありません。
インフレになると、購入価値も減っていきます。
元本保証商品でない投資信託は、時期によりマイナスになることもありますがプラスになると複利で増えていきます。
長期間積み立てると複利の影響と分散投資で収益のばらつきを抑えることができます。月々1万円を40年積立(元本480万円)てると、目安として以下のようになります。
- 元本保証で金利0.01%の定期預金は、約480万円(収益1万円未満)
- 投資信託で期待する収益率3%では、約920万円
- 投資信託で期待する収益率5%では、約1,490万円
期待収益率とリスク
期待周収益とは、資産の運用により、獲得が期待できるリターン(収益)の平均値の事を言います。
一般的に期待収益率が大きくなるとリスクも増えます。つまりリターンが高い商品ほどリスクも高くなります。
投資信託商品について、その目安を以下に示します。
投資信託商品 | 期待収益率 | リスク変動幅 |
---|---|---|
株式、不動産 | 5〜7% | ±40〜50% |
先進国債券 | 2〜3% | ±20%程度 |
国内・先進国債券 | 1〜2% | ±4〜10% |
新興国債券 | 4〜6% | ±30%程度 |
※長期的にやる場合は変動率が変わります
高い収益率5%の投資目安
収益率5%を期待したい場合は、株式あるいは不動産リートで運用するのが目安です。
株式で運用する場合は、国内株・先進国株・新興国株が3分の1ずつが目安になります。
それぞれをまとめて投資するバランス型を選ぶこともできます。
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等に連動するインデックスが基本になります。
安全も考えた収益率3%の投資目安
大きな変動を避けたい場合は、株式と先進国債券投資を組み合わせて投資するのが基本になります。
- 国内株・先進国株・新興国株が3分の1ずつの株式投資を30%
- 比較的安定している先進国の債券投資を70%
年齢別投資目安
投資は、期間がポイントになります。期間が長ければ回復可能ですが、短いと困難になります。
そこで、以下のように投資するのが良いでしょう。
- 投資期間の長い40代までは収益率5%運用
- 投資期間が限られる50代以降は、安全に考慮した運用
iDeCoは非課税
iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となります。運用益は非課税です。
所得金額からは最低でも所得税5%と住民税10%(それに復興特別税)が引かれるため、iDeCoを利用した上で年末調整あるいは確定申告で手続きすれば、最低でも掛金の15%は戻ってくることになります。
運用益については非課税なので、年末調整あるいは確定申告は必要ありません。
年金として受け取るときは国民年金・厚生年金と合わせて課税対象となりますが、年金で受け取る場合は「公的年金控除」を、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」を受けることができるので、税額は小さくなります。
次回はつみたてNISAとiDeCoの非課税についてお話しします。
▶ つみたてNISA・iDeCoの非課税制度ってどういうこと?
まとめ
- 〇 iDeCoは、人生100年時代に向けた長期間の資産形成を行う個人型確定拠出年金
- 〇自分で有利な商品を選ばないと資産形成に役立たない
- 〇iDecoは、国民年金や厚生年金とは別に年金を受け取る制度
- 〇投資期間の長い40代までは収益率5%で運用
- 〇投資期間が限られてる50代以降は、安全に考慮した運用