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この記事の監修

綿引紀一(わたびき のりかず) ファイナンシャルプランナー
株式会社Style
生命保険協会認定FP 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家検定)
日産自動車株式会社 座間工場 勤務を経て、1998年、アクサ生命保険株式会社に入社。2001年 MDRT入会し、同年、営業所長に就任。2010年には統括部次席に。
2014年 アクサ生命保険株式会社を退職したのち、2015年 株式会社 Style (生命保険10社/損害保険2社 取扱い)〜現在に至る。
資産づくり、資産運用、医療系を得手としている。
趣味はゴルフ・カラオケ。
高齢社会を迎え、現役世代にとっては人生100年も現実的になってきました。
長く生きられることはとても喜ばしいことですが、その分、老後のための資金作りを計画的に行なっていかなくてはなりません。
しかし、長く続いている低金利時代で、資金作りは困難と言われています。そんな中、効果的な資金作りとして注目されているのが「投資」です。
投資とは、利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を出すことを言います。
種類が多く、リスクもありますから、初心者にとってはハードルが高いイメージがあるかもしれません。しかし、きちんと知識を身につけることで、リスクをコントロールしながら自分のペースで資産形成を行うことができるため、近年投資への注目度は急激に高まっています。
今回は、「株式投資」「FX投資(以下、FXと表記)」のどちらを選べば良いのか悩んでいる投資初心者に向けて、両者の違いを解説していきます。
投資の方法は様々
一口に「投資」と言っても、様々な種類があることを知っていますか?
- 株式投資
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
- 不動産
- 仮想通貨
- 債券
- FX(外国為替取引)
ざっと挙げるだけでも、投資の方法はこれだけあります。それぞれの特徴を理解し、目的に合わせた方法を選ぶことが大切です。
今回は、経済情勢などを分析しながら自分で投資先や投資額を決めるという点で共通している「株式投資」と「FX」について、初心者向けに解説していきます。
株式投資とFXの違いとは?
「株式投資」も「FX」も、自分で投資先や投資額を決めて資産運用するという点では同じです。
しかし、投資の対象や最低投資金額などが異なるため、資産運用の方法としてはそれぞれ別の性質を持っています。
株式投資 | FX | |
投資の対象 | 企業 | 通貨 |
最低投資金額 | 一単元株 数万円〜 | 最低4円〜 |
レバレッジ | なし〜最大3倍程度 | 最大25倍 |
取引時間 | 平日 9:00〜15:00 | 24時間 |
株式投資とFXのどちらを始めるべきかは「どのくらいの資産をいつまでにどれくらい増やしたいのか」によって、変わってきます。
それではここからは、投資の初心者に向けて「株式投資」と「FX」のどちらを選ぶべきなのかを解説していきます。
株式投資とは
まず、株式投資とは、株式会社が発行した株式を、証券会社を通して売買することです。
株式会社は、株主が出資したお金を資金として事業を行います。
投資者は、事業利益を配当として受け取ることで利益を得たり、株価が上昇した時に売却することで差額を儲けることができるという仕組みです。
株式投資の投資の対象は「企業」です。
株式の売買が行われるのは「東京証券取引所(東証)」などの「証券取引所」です。大企業が上場する「東証一部」「東証二部」の他に、近年では若い企業が集まる「マザーズ」や「ジャスダック」も注目されています。
株式市場はニュースや新聞で目にする機会も多いため、投資の初心者からも高い関心を集めています。
株式投資のメリット
株式投資のメリットとしては、
- 基本的に現物取引である
- 実は少額から始められる
- 値上がり益だけでなく配当金も期待できる
- 株主優待が受けられる
- 自社持株会を利用すれば長期にわたる財産形成を見込める
などが挙げられます。
投資初心者にとって安心材料となるのが、株式投資は基本的に現物取引であるという点です。
投資にはリスクが付きものですから、株式会社の業績が悪化し株価が急激に落下した場合、当然投資したお金が減ってしまうことになります(元本割れ)。
ただし、株式投資は基本的に現物取引なので、借金のリスクはありません。
株式投資は、クリック225などレバレッジをかけた指数連動型を除き、基本的には「現物取引」です。つまり、株価が下落して損した場合でも、保有金額が0円以下になることはありません。また、長期の投資では、損失期間が続いても挽回を見込むことができます。
また、株式投資は、値上がり益だけでなく、株を保有しているだけで得られる「配当金」や、割引券やサービス券などの「株主優待」を受けることができます。
株式投資のデメリット
株式投資のデメリットとしては、
- 元本割れのリスクがある
- 円高や海外の経済情勢の影響を受ける
- 企業業績などの分析が不可欠
などが挙げられます。
株式投資を始めるにあたっては、株式の購入先を決めるために、経済情勢や企業の業績などを複合的に分析しなくてはなりません。
株に初めて投資する場合は、自社株購入を除いて、どの会社の株が値上がりするか分からず、投資先がなかなか決められないことがあります。
単一銘柄を買おうとするのであれば、投資の基本方針を決め、PERなどの各種指標をチェックし、テクニカル分析を行わなくてはいけません。手間と時間をかけないと失敗する可能性が高いです。
単一銘柄を決めかねる場合は、日経平均やTOPIXのような株価指数(インデックス)と同じ値動きをするインデックスファンド(投資信託・ETF)がおすすめです。
株の投資先を行き当たりばったりで決めるのは厳禁です。
最初は、プロが運用するファンドをいくつか選択することで分散投資となる、投資信託を利用するのも手です。
FXとは
FXとは「Foreign eXchange」の略で「外国為替証拠金取引」のことです。
株式投資の投資先は「株式会社」でしたが、FXの投資先は「通貨」です。
異なる通貨が交換される際の交換比率を「為替レート」と言いますが、FXでは、このレートの変動を予想しながらタイミングを見計らって通貨を売買することで利益を得ようとします。
FXと株式投資の大きな違いに、高いレバレッジを設定できることがあります。
レバレッジとは、預けた証拠金の数倍〜数十倍の取引ができる仕組みです。
少額の証拠金で大きな額の売買ができるため、少ない元手が莫大な金額に増えることもありますが、逆に元手の何倍もの額の借金を抱えてしまうリスクもあります。これが、FXの最も特徴的なポイントです。
FXのメリット
FXのメリットとしては、
- 少額から始められる
- 24時間取引ができる
- 大規模市場なので莫大な利益を産むことがある
などが挙げられます。
FXには、少額の投資でも大きな利益を生み出せる可能性があると言うメリットがあります。ただしもちろん、ハイリスクハイリターンというのはデメリットにもなりうる可能性があります。
また、FXは頻繁に動向をチェックしなくてはいけないイメージがありますが、指値注文・成行注文など通常の取引注文の他に、OCO注文・IFD注文・IFO注文など様々な注文の方法があるため、これらを理解して使うことでリスクをコントロールすることができます。
OCO注文とは、一度に2つの注文を同時に出し、どちらか一方が約定したらもう一方は自動でキャンセルされるという注文方法です。
105円で買ったとしたら、+2円(107円)で売り(利益確定)、-2円(103円)でも売り(損失確定)という注文なので、目を離した間に「まさか!」の事態に巻き込まれるという状況は避けられます。
FXのデメリット
FXには、以下に示すデメリットがあります。
- 外貨の購入は利子を支払うので元本割れの可能性がある
- 信用取引なので所持金がマイナスになることがある
- レートの変動が予想しづらい
FXのデメリットとしては、ハイリスクハイリターンであること、そして、レートの大変動が起きたときに対策をしていないと大損をしてしまう可能性があることなどが挙げられます。
FXは、レバレッジをかけて元手の20倍ほどの金額を取引する「証拠金取引」ですので、元本割れするだけでなく、所有金がマイナスになる可能性もあります。
しかし「いくらで損切りをするか」と言った自分で決めたルールさえ守れれば、そんなことにはなりません。ご安心ください。
投資初心者が注意しておきたい税金の話
株もFXも、利益には税金がかかります。
株
株の売買利益と配当には、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税(所得税の2.1%)を合わせて20.315%の税金がかかります。
源泉徴収のある特定口座で取引すると確定申告は不要になります。また、NISA・つみたてNISA・iDeCoを使えば、一定額までは利益に税金がかかりません。
FX
FXの取引には
- 公的な東京金融取引所に上場する「くりっく365」
- FX会社が直接取引する「非くりっく365」
があります。
通常使われる「くりっく365」には、株式と同じ20.315%の税金がかかり「非くりっく365」には、雑所得で15〜50%の税金がかかります。
雑所得は利益が大きいと高額の税金を支払わなくてはいけなくなるので、投資の初心者であれば「くりっく365」がおすすめです。
「くりっく365」には、税制上以下のメリットがあります。
- 申告分離課税
- 損失の3年間繰越控除
- 証券先物・商品先物の損益通算
FXには源泉徴収制度がないので20万円以上の利益が出たら必ず確定申告が必要になります。
結局、株式投資とFXどちらを選ぶべき?
株式投資とFXは、共通点もありますが、様々な点で異なる投資方法であることをお分りいただけたでしょうか。
私の考えとしては、大きな資金で長期投資でしたら株式運用。少額を短期で運用するのであればFXがお勧めです。が、いずれにしても絶対損したくない方はどちらにも向かないのは間違いないです。
条件をよく見比べて、自分に合った資産形成の方法を選んでみて下さい。