生命保険で資産運用は有効?利益はでるの?メリット・デメリットを解説

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万が一のときの備えをしながら、お金も貯められればこんないいことはないと思いませんか?

人生100年時代を迎え「長生きするリスク」がひとごとではなくなり、健康と同時に老後の資金もきちんと用意しなければならなくなりましたよね。

もしものときの備えと貯蓄をいっぺんに行う方法として生命保険があります。しかし生命保険はローリスクといわれますが、よく検討して始めないと失敗し損をしてしまうことも…。

そこでこの記事では、生命保険で資産運用ができるわけやメリット・デメリット、選び方などについて解説をします。

なぜ生命保険で資産運用ができるの?

生命保険では、通常払い込んだ保険料と同等またはそれ以上の解約返戻金や満期保険金がもらえますが、どのような仕組みになっているのでしょうか?

生命保険で資産運用できる理由

生命保険は、契約者が払った保険料を集め、投資のプロが公社債や株式に分散投資して利益を得ます。

その利益を保険会社の経営に必要な人件費や事務費・宣伝費などの諸経費と解約返戻金や満期保険金に充てます。

貯蓄型生命保険ならば契約金額に上乗せしてもらえることも

保障と同時に貯蓄を目的とする保険を貯蓄型保険といい、低解約返戻金型終身保険や養老保険・学資保険・個人年金保険などがそれに該当します。

貯蓄型保険は、長期で契約する場合が多いので投資によるリターンを得やすく、返戻金や満期保険金を多く払うことが可能になります。

通常は契約金額にしたがって満期保険金が決まってきますが、貯蓄型生命保険には運用益を上乗せしてもらえる商品もあるわけですね。

生命保険で資産運用するメリット

資産運用だけを考えると、株式投資や投資信託・不動産投資・FXなどに投資すれば、より多くのリターンを得られる可能性があります。

しかしこれらの商品で資産運用するには十分な知識と資金が必要であり、またハイリスクであることも考えておかねばなりません。

生命保険であれば、何の知識もなく少額から始められ、しかもリスクはほとんどありません。

保障を受けながら資金を貯められる

生命保険で資産を運用する最大のメリットは、保障を得ながら返戻金や満期保険金を受け取れることです。人生100年代において、健康であると同時にお金がなくては豊かな老後を送ることはできません。

平成30年度の「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の加入目的は次のようになっています。

医療費や入院費のため57.1%
万一のときの家族の生活保障のため 49.5%
万一のときの葬式代のため15.4%
老後の生活資金のため10.8%
貯蓄のため8.6%
災害・交通事故などにそなえて8.3%
子どもの教育・結婚資金のため7.4%
介護費用のため3.8%
相続および相続税の支払を考えて2.8%
財産づくりのため2.4%
万一のときのローン等の返済のため2.1%
税金が安くなるので1.7%

出典:(公財)生命保険文化センター

これを見ても保障と同時に老後の生活資金や貯蓄・子供の教育資金などに備えていることが分かります。また保障と資産運用を分けて行うことができない人や、十分なお金がない人には適した資金運用方法と言えます。

自然と貯蓄が増えていく

生命保険の保険料は、金融機関口座からの引落やクレジットカードによって、団体扱いの場合には天引きにより定期的に半ば強制的に支払われます。

したがって保険料の支払いを意識することなく、自然に資産形成ができます。お金があるときに貯蓄しようと考えているとお金は貯まらず、余ったお金は浪費されてしまうでしょう。きちんと貯蓄する自信のない人には、オススメの資産運用と言えるでしょう。

貸付制度を利用できる

急にまとまったお金が必要になった場合には、生命保険会社の貸付制度を利用できます。

生命保険を解約して解約返戻金を受け取ることは可能ですが、それではそれ以降の保障が受けられなくなります。保険会社の貸付制度を利用すれば、金融機関から借り入れするよりも低金利で融資を受けられることが可能。

また返済方法は通常自由で、決まった期日に支払わなければならないという心配もありません。まとまったお金が入った時に、自由に返済できるので生活にゆとりができます。

資産運用はプロが行うので任せられる

契約者から集めた保険料は、保険会社のプロが運用するので安心して任せられます。

例えば株式投資では、まず口座を開設し資金を用意し投資についての知識もなければなりません。しかし生命保険の場合には、プロが安全な公社債や投資信託・株式などさまざまな商品に分散投資するので、リスクを考える必要はありません。

定期預金より高い利率で資産運用できる

学資保険や養老保険などは、商品の特性上契約期間は長期で設定されます。返戻率はあらかじめ確定していますが、運用次第では高い利益を得ることもでき、予定以上の返戻金を受けとることも。

定期預金の金利は2020年8月4現在、1年物の金利が大手銀行で0.002%程度。史上最低ともいわれる金利であり、生命保険の方が有利に資金形成できる可能性があります。

老後資金や教育資金を目的とする貯蓄型生命保険で、満期を定めない場合には解約返戻金を据え置きさらに資金を貯めることができます。

被保険者に万が一の時には保険金が出る

生命保険に加入していれば、被保険者に万が一の場合は保険金が支払われます。特に子供がまだ小さな場合には、教育資金等もかかるので安心できます。また死亡および疾病の特約を付ければ、よりリスクに備えることができます。

節税効果が期待できる

毎月支払う生命保険料は、所得税の計算で控除の対象となり、満期保険金は一時所得になり税制メリットを受けられるケースもあります。

生命保険料控除により課税所得額を抑えられる

生命保険料は、所得税及び住民税を算出する際に控除の対象となり、課税所得額を低く抑えられるので節税効果があります。

所得税の場合は、生命保険・介護医療保険・個人年金保険それぞれ4万円、合計控除上限金額は12万円です。

住民税の場合も、生命保険・介護医療保険・個人年金保険それぞれ2万8,000円で、合計控除上限金額は7万円です。

満期保険金は、所得税の税制メリットを受けられることも

生命保険の満期保険金は、被保険者と保険料負担者が同じの場合には相続税の対象となりますが、保険料負担者と保険金受取人が同じの場合には一時所得となります。これにより所得税が課税されますが、必要経費や特別控除により、税制上のメリットが受けられる可能性があります。

一時所得の計算は次の式によって表せます。

一時所得の課税所得額=(一時所得額-経費-特別控除額)×1/2

特別控除額は最大50万円であり、一時所得額から経費を引いた金額が50万円未満のケースでは所得税の課税はありません。

契約者は生命保険契約者保護機構により保護される

契約している生命保険会社が破綻した場合には、生命保険契約者保護機構により一定の契約者保護が行われます。

国内で営業をする生命保険会社はすべて保護機構への加入が義務付けられていて、破綻した時点での補償対象契約の責任準備金の90%まで補償されます。

生命保険で資産運用するデメリット

生命保険での資産運用はメリットばかりではありません。デメリットもあるので、よく理解して始めるようにしましょう。

保険料が高額になる

一般的に生命保険の保険料は、契約者への保障と保険会社の経費に充てられるので、保険料は高額になります。

さらに貯蓄型生命保険は、貯蓄も目的にするので、掛け捨て型の生命保険と比べて保険料は数倍になることも。貯蓄型保険は、通常長期加入が前提なので、加入の際には長期間保険料を払えるのかどうか、シミュレーションする必要があります。

予定利率を得られないこともある

保険会社は契約者から集めたお金を、将来保険金として支払うために準備しています。また株式や債券・不動産などに投資し、資産を運用することでお金を増やしていきます。

予定利率とは契約の際にあらかじめ約束する利回りを言いますが、予定通り資産運用できない場合には予定した返戻金を得られないことも。

例えば経済状況の悪化などにより、運用している金融商品の利回りが下がった場合には、予定利率が下がることになるでしょう。

途中解約すると元本割れする恐れも

途中で解約した場合でも、払い込みした保険料が解約返戻金として支払われますが、契約してすぐに解約してしまうと元本割れすることも。

したがって生命保険を資産運用として利用する場合には、途中で解約せず長期的に加入する必要があります。

また、一括して支払えば途中解約による元本割れリスクは低減しますが、生命保険料控除の特典も初年度しか利用できないので資産運用の視点からみれば効率が良くありません。

他の投資商品と比べると利回りが悪い

貯蓄型生命保険の利回りは、定期預金などと比べると良いですが、株やFXなどの金融商品と比べると劣ります。

商品よっては返戻金額が払込金額より少なくなる場合もあるので、よく検討して決めるようにしましょう。

資産運用に向いた生命保険は?

それでは、資産運用に適した保険にはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、貯蓄性のある生命保険の種類と特徴を紹介します。ご自分のニーズにマッチする商品を選ぶようにしましょう。

低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険は終身保険よりも貯蓄性が高く、教育資金や老後資金を蓄えたいと考える人に向いています。

終身保険としても利用でき、一定の期間が経過した後は解約もできます。しかしその場合、解約返戻金は少なくなり、元本割れする確率が高いことを承知しておかねばなりません。

養老保険

養老保険は、満期までに被保険者が亡くなった場合には、当初契約した保険金が満額支払わられ、満期が到来した時には支払った保険料以上の保険金が戻ります。

定期預金の性格を持ちながら、返戻金を得られるので資産運用の方法としては好適です。契約の更新ができないので、満期以降の保障が受けられないことと、利率が低いことがデメリットです。

学資保険

学資保険は、子供の入学や進学に合わせて満期を決め、満期が到来すれば保険金を得ることができます。

返戻率は契約時に決められることが多く、通常保険料総額よりも保険金が多くなるので、教育資金の準備には好適でしょう。

とくに保険の支払い中に契約者が亡くなった場合には、その後の支払いは免除され、保障も続くのは最大のメリットです。

子供が大きくなってから契約すると、支払い期間が短期になるので、元本割れすることもあるので注意しなければなりません。

個人年金保険

個人年金保険は、契約時に決めた年齢になると年金形式で一定額の保険料を受け取れる保険です。

個人年金には生存している間は年金を受け取れる保障期間付終身年金と、生死に関係なく一定期間もらえる確定年金があります。

死亡保障よりも豊かな老後を送るための貯蓄保険といえるでしょう。ただし、個人年金保険は大きなリターンは期待できず、終身年金では早死にすると損をするリスクがあります。

貯蓄型生命保険を選ぶ際のチェックポイント

以上のように、資産運用に向いた貯蓄型保険はいろいろありますが、保障の内容や返戻率などさまざまな点で異なります。この章ではどのような点に注意して生命保険を選んだらよいのか説明します。

保障内容をよく吟味する

貯蓄型生命保険を選ぶポイントは、加入する目的を考え保険金額や払込期間などの保障内容を決めることです。

例えば、子供の教育で学費が必要な人はいつどの程度の資金を用意しなければならないのか、年金代わりに利用したい人は退職後から死ぬまでどの程度の資金が必要かなど。

人によって保険に入る目的は異なるので、目的にマッチした補償内容の保険を選ぶ必要があります。

無理のない保険料に設定する

保険を選ぶ際には、保険料の金額もよく考えて決めなければなりません。いくら保障が充実しているからといって、無理な保険料に設定すると毎月の支払いができなくなり、契約が無効となってしまうことも。

また途中で解約せざるを得なくなった場合には、元本割れとなり損をしてしまったということにもなりかねません。したがって自分の収入と照らし合わせ、支払い可能な保険料を決めましょう。

返戻率を考慮する

返戻率は、期間満了まで納めた保険料に対してもらえる保険金総額の比率を言いますが、返戻率が高ければ効率よくお金を貯められるということになります。

貯蓄型生命保険に加入する目的は、保障と同時に将来のために必要なお金を作ること。したがって保険を選ぶ際に返戻率を確認することは、資産形成の重要なポイントになります。

返礼率=保険金総額÷払込保険料総額×100

まとめ

生命保険での資産運用は、株式投資やFXのように大きく資産を増やすことはできません。

しかし生命保険の長所は、なんといっても保障を受けながら資産運用ができることです。また投資リスクが低いことや、節税できるのも大きなメリット。

しかし生命保険による資産運用は、メリットだけではなくデメリットもあるのできちんと検討する必要があります。目的と保障内容をよく考え、マッチする保険を選んで加入するようにしましょう。

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