つみたてNISA/iDeCoと年金の違いは?

MANEWAKAおすすめの家計相談サービス

連載企画:つみたてNISA/iDeCoはなんのためにあるの?そもそもどんな制度なの?
▶前回の内容:つみたてNISA・iDeCoは貯金よりもどう有利なのか。デメリットはないの?

つみたてNISA・iDeCoは、年金(公的年金)にプラスして高齢時代を支える制度です。
NISAには、一般・つみたて・ジュニアNISAがありますが、ここでは「つみたてNISA」を取り上げています。

つみたてNISA・iDeCoと年金

まず始めに、つみたてNISA・iDeCoと年金の共通点と相違点を解説します。

つみたてNISA・iDeCoも年金も、高齢時代への備え(つみたてNISAは高齢でなくても途中で解約できます)という点では共通しています。
ただし、年金は加入が義務付けられていますが、つみたてNISA・iDeCoは任意加入です。

どちらも同じ制度

年金は国が運営する国の制度ですが、つみたてNISA・iDeCoも国が推薦する公的制度です。

共通点を以下に示します。

  • どちらも加入は、20歳から
  • 税制で優遇(非課税)
  • 基本的に長期間加入

方式の違い

制度上、以下の違いがあります。

  • 年金は、世代間で支え合う賦課(税金などを割り当てて負担)方式
  • つみたてNISAとiDeCoは積立方式

年金は、現役世代の保険料(国庫負担や企業負担もあります)を高齢者の年金として給付する賦課方式です。

少子高齢化から支える現役世代が減り、年金を受け取る高齢世代が増えることから、年金制度に不安を感じる人もいると思いますが、
収入が減ると支出(年金)を減らす(調整する)マクロ経済スライドができたので制度自体は100年安心です。

基本的に年金は年により調整されますが、年金額が決まっていて確定給付年金と呼ばれます。これに対して、つみたてNISAとiDeCoは自分の資産を自分で貯める積立方式で、自分で貯めた分は、自分の資産になります。

少子高齢化の心配はありませんが、増やすためには基本は自分で投資信託商品の選定をし、運用しなければなりません。
年金は保険料を払込、その後は放っておけますが、つみたてNISAとiDeCoは努力が必要で放っておくと一般に増えません。

iDeCoは掛金が決まっていて、運用により年金が変わる確定拠出年金と呼ばれます。

受け取るお金が違う

  • 年金は保険
  • つみたてNISAとiDeCoは保険ではない。

保険は高齢者も含めた支え合いなので、遺族年金はありますが死亡すると年金はなくなり、なくなった分は長生きする人の保険金に蓄積されます。

年金は一生涯受給できるので、長生きすると受取る総額が増えます。

つみたてNISAとiDeCoは積立方式なので、死亡すると残額は遺族が受け取ります(なくなることはありません)。

NISAやiDeCoは国が推奨しているということですが、国が「保証」していると捉えていいのでしょうか?

いえ、国は推奨していますが保証はしていません。

つみたてNISAと年金の違い

年金は基本的に65歳から受け取れますが、つみたてNISAはいつでも解約し現金化できます。

また、年金とiDeCoの加入期間には制限(60歳まで、厚生年金は70歳まで)がありますが、つみたてNISAにはありません。
このため、つみたてNISAは以下のような目的で利用することができます。

  • 子供の教育資金作り
  • 家の購入費用
  • 医療・介護・リフォームなどへの備え など

iDeCoと年金の違い

iDeCoと年金は同じ年金制度ですが、iDeCoは自分で貯めた分しか受け取れません。逆に言えば、自分で貯めた分は確実に受け取れます。

年金の受取期間には、以下の違いがあります。

  • 年金は、基本65歳から一生涯受給(終身)
  • iDeCoは、5年・10年・15年・20年から選択して受給(有期)

iDeCoの年金は、自分で貯めた分を期間を分けて受取るので、終身ではなく期間の決まった有期であり、期間が過ぎると無くなるので注意が必要です。

iDeCoは、年金と違い一時金でも受け取れます。
掛金は全額所得控除の対象となり、運用益は非課税となります。受給するときには税金がかかりますが、以下の控除が適用されます。

  • 一時金で受け取る場合、退職所得控除
  • 年金で受け取る場合、公的年金控除

一般的には、一時金として受取る方が税額は小さくなります。

つみたてNISA・iDeCoが必要なわけ

年金があるのに、国(金融庁)がつみたてNISAとiDeCoを推薦しているには、次のわけがあります。

  • 年金だけでは高齢時代の資金が不足
  • マクロ経済スライドにより少子高齢化で年金の額が減る可能性
  • 支給額が年々減少している退職金の補完など

金融庁は、2019年5月に「高齢社会における資産形成・管理」報告書案を出しました。金融庁はこの報告書を受け取らないようですが、記載されていることは事実と言えます。

その中で、厚生年金モデル世帯(平均的な男子賃金で40年間厚生年金に加入した夫と40年間国民年金に加入した専業主婦の世帯)は、月々約5万円不足するのでともに95歳まで生きると約2,000万円不足すると記されています。

また、少子高齢化で年金支給額が減る可能性があることや退職金を出す企業も減ってきているので、若いうちから資金形成を行うことが必要になり、税制面で有利(非課税)なつみたてNISAとiDeCoを国が推薦しています。

NISAとiDeCoでは、どちらがより煩雑ですか?

どちらも仕組みを正しく理解できればさほど煩雑ではないと思います。

年金を支払うだけでも生活がギリギリの場合、それでもNISAやiDeCoを始めるべきですか?

ギリギリなのでしたら、すぐには無理はしないでおきましょう。まずは収入を増やすことが出来ないか?支出を減らすことは出来ないか特に支出に関してはファイナンシャルプランナーなどのにご相談されてみて下さい。

次回はつみたてNISAとiDeCoは保険とどう違うのかお話しします。
つみたてNISA・iDeCoと保険の違いは?

まとめ

〇年金は、世代間で支え合う賦課方式、つみたてNISAとiDeCoは積立方式
〇年金は保険だが、つみたてNISAとiDeCoは保険ではない
〇つみたてNISAはいつでも解約できる
〇iDeCoは、5年・10年・15年・20年から選択して受給
〇つみたてNISAとiDeCoは国が推奨してる

MANEWAKAおすすめの家計相談サービス