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最近何かと話題の「つみたてNISA」ですが、実は節税可能な資産形成だとはご存知でしたでしょうか。
中でも「つみたてNISA」の投資対象の中で、長期の資産形成が可能と今注目されているのが、積立型投資信託です。
投資信託は、投資をする人「投資家」が専門家「投資信託委託会社」にお金を預けて、得られた利益の分配を受ける仕組みです。
投資をする人「投資家」は、銀行や証券会社に投資信託する口座を開設して、投資信託の金融商品を選び購入します。
選んだ後は、専門家「投資信託委託会社」が運用します。
なんでも専門家が運用してくれるからと言って、投資家は商品を選べは終わりではなく、運用状況がどうなっているか良く知り、悪いと判断すれば商品の切り替えを行うことが求められます。
投資信託の基本
なぜ投資信託が注目されているのかというと、大手銀行の預金金利は、普通預金で0.001%、定期預金でも0.01%程度です。
加えてこの金利(利子所得)から所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を合わせた20.315%が源泉徴収されます。
病気やケガ、あるいは旅行や衣服・家具購入などの短期資金は、いつでも引き出せる預貯金が便利ですが、資産形成には預貯金に比べて金利の高が投資信託が注目されています。
2014年1月から2023年まで、個人投資家のための税制優遇制度「NISA」がスタートし、毎年120万円の非課税投資枠が設定されました。
非課税期間は、最長5年で非課税最大投資枠は600万円です。
2018年1月からは、さらに長期間の積立・分散投資を非課税で支援する「つみたてNISA」がスタートしました。
「つみたてNISA」は投資信託で資産形成を始める環境が整っています。この記事でフォーカスしているのがこのつみたてNISAですね。
投資信託には色々な種類がありますが、公社債投資信託と株式投資信託が商品数も多く、初めの投資信託に向いています。
それぞれどういったものでしょうか。
公社債投資信託
公社債投資信託は、株式を全く組み入れないで国債、地方債、社債などの債券を中心に運用します。
公社債投資信託の主な商品にMMFとMRFがあります。
MMF(マネー・マネジメント・ファンド)もMRF(マネー・リザーブ・ファンド)も短期債券を中心に運用し、以下に示す特徴があります。
- 購入単位が1円以上1円単位でいつでも追加購入可能
- 日々の収益を毎日計上
- 運用期間は無期限
MMFとMRFには、以下に示す違いがあります。
- MMFは、30日据え置き後は解約手数料が不要
- MRFは、いつ解約しても手数料不要
株式投資信託
株式投資信託は、株式を組み入れることのできる投資信託です(株式を組み入れないこともあります)。
株式投資信託は、主に以下の種類があります。
- 国内株式型
- 外国株式型
- 国内・外国の債券・株式を組み合わせたバランス型
- 日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など、特定の指数と同じ値動きをするように設計されたインデックス型
- 運用会社が別の投資信託に投資するファンド・オブ・ファンズ(分散投資になる)など
投資信託の収益の目安
日本経済新聞の記事によると収益とリスクの目安は、以下のようになっています。
投資信託商品 | 期待収益率 | リスク変動幅 |
---|---|---|
株式、不動産 | 5〜7% | ±40〜50% |
先進国債券 | 2〜3% | ±20%程度 |
国内・先進国債券 | 1〜2% | ±4〜10% |
新興国債券 | 4〜6% | ±30%程度 |
収益率(リターン)が大きいと、リスクも大きくなっています。
ハイリターンの商品だけに投資すると、リスクが大きくなるので分散して投資するのが基本です(商品自体も分散投資しています)。
手数料と税金
投資信託には、通常以下に示す手数料がかかります。
- 購入時にかかる購入時手数料(無料もあります)
- 運用や管理の対価の運用管理費用(信託報酬)
- 解約代金を信託財産に含める信託財産留保額
投資信託(売却益と分配金)には、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税(所得税の2.1%)を加えた20.315%の税金がかかります。
源泉徴収のある特定口座を開設すると、源泉徴収されるので確定申告は必要ありません(申告することもできます)。
「つみたてNISA」
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援する非課税の制度です。
つみたてNISAの特徴
投資の対象商品は、以下に示す特徴を持った公募株式投資信託と上場株式投資信託です。
- 手数料が低水準
- 元本を減らす分配金を頻繁に行わない
- 長期・積立・分散投資
- いつでも解約・現金化が可能
つみたてNISAの概要
つみたてNISAの概要を以下に示します。
- 利用者:日本に住む20歳以上。つみたてNISAと一般NISAはどちらかを選択
- 非課税対象:投資信託で生じた分配金や譲渡益(収益)
- 口座開設数:1人1口座()
- 非課税期間:最長20年間
- 投資可能期間:2018年〜2037年
- 投資対象商品:長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
つみたてNISAは20歳以上が対象ですが、20歳未満の方向けには、ジュニアNISAがあります。
つみたてNISAの投資対象商品は、以下の要件をすべて満たした長期・積立・分散投資に適しています(公募株式投資信託の例)。
- 販売手数料:0円(販売手数料のかからないノーロードファンド)
- 信託報酬:一定水準以下(例えば国内株のインデックス投信では0.5%以下)
- 情報公開:顧客ごとに1年間の信託報酬(投資信託の手数料)の概算額を通知
- 信託契約期間:無期限または20年以上
- 毎月分配:不可
- デリバティブ(金融派生商品)取引:ヘッジ(相場の変動で生じる決済時の損失の備え)目的等を除き不可
つみたてNISA最大のメリットは非課税で投資できること
非課税制度は、ある程度の収益率が見込める場合資産形成に非常にメリットがあります。
下表に収益率2%と3%を例に、毎月5万円の長期間投資の資産形成(元利合計)の目安を示します。
利息組込みは期末で、半年複利としています。
課税の列は、複利組込時に20.3%を想定しています。
年数 | 2%課税 | 2%非課税 | 3%課税 | 3%非課税 |
---|---|---|---|---|
1年目 | 605,185円 | 606,512円 | 607,793円 | 609,786円 |
5年目 | 3,124,322円 | 3,156,942円 | 3,188,666円 | 3,238,872円 |
10年目 | 6,506,729円 | 6,644,168円 | 6,779,639円 | 6,997,722円 |
15年目 | 10,168,534円 | 10,496,236 | 10,823,674円 | 11,360,028円 |
20年目 | 14,132,816円 | 14,751,318円 | 15,377,914円 | 16,422,648円 |
つみたてNISAは、投資信託の配慮された運用面、安い手数料、加えて非課税であることなどから、初めての資産形成に有利なのでおすすめです。
2024年からは新NISAがスタート!つみたてNISAは「つみたて投資枠」に変更
2024年からはNISA制度が刷新され、現行制度の一般NISAは「成長投資枠」へ、つみたてNISAは「つみたて投資枠」へと名称が変更されます。
つみたて投資枠になっても、投資できる商品のラインナップはほとんど変わらない見込みです。
しかし、以下の点において大きな変更が加えられます。
- 非課税投資枠が年間40万円→120万円に(月10万円まで積立可能)
- 非課税投資期間が20年→無期限に
- 一生涯で投資できる上限額は800万円→1,800万円に
- 商品を売却すると、非課税枠を再度利用できる
新NISA制度がスタートすれば、さらに柔軟に投資できるようになるはずです。
投資信託を購入する際は、積極的に活用しましょう。