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現金を使わない決済方法である「キャッシュレス決済」。
- クレジットカード
- デビットカード
- 電子マネー(プリペイドカード)
- スマホ決済(QRコード決済)
など、多様な決済方法が登場しています。
とはいえ実際のところ、キャッシュレス決済は現金と比較してどの程度普及しているのでしょうか?
また今後、どの程度まで普及することになるのでしょうか?
今回は、今後に想定されるキャッシュレス決済の未来について解説します。
キャッシュレス決済比率の現状
経済産業省の商務・サービスグループは、2020年1月に資料『キャッシュレスの現状及び意義』を発表しました。
これによると、日本のキャッシュレス決済比率は「約20%」にとどまっている、とされています。
また同省の別の資料によると、日本の2019年のキャッシュレス決済は「26.8%」であり、クレジットカードだけではなく、デビットカードや電子マネー、スマホを使ったQRコードによるキャッシュレス決済が伸びているとしています。
2020年12月時点では、2020年のキャッシュレス決済の比率は確定していません。
とはいえキャッシュレス決済の額は年々増加しています。
そうしたことから、2020年のキャッシュレス決済比率は30%弱、もしくはそれをわずかに上回る水準となることも想定されます。
キャッシュレス決済のメリット
キャッシュレス決済の比率が高まっているのには理由があります。
それは、消費者と店舗側の双方に大きなメリットがあるためです。
消費者側からみたメリット
私たち消費者からみたキャッシュレス決済のメリットは、なんといっても「便利」なこと。
現金を持つ必要がなくなり、財布を持たずに買い物することが可能に
スマホ決済だけ、もしくはスマホケースに入れたクレジットカードだけで、ショッピングを楽しんでいる人もめずらしくありません。
また、家計簿を記録している方もいるでしょう。
アナログな方法ではレシートを張り付ける方法などがありますが、キャッシュレス決済なら、すべての収支をネット上で確認でき、自動で家計簿を付けることも可能となります。
付け加えると、クレジットカードは紛失・盗難の際で不正利用された際にも、カード会社から補償を受けることができます。
現金を紛失すると戻ってこないケースが多いことを考えると、キャッシュレス決済の大きなメリットだといえるでしょう。
店舗側からみたメリット
また、キャッシュレス決済は店舗側にも「売上増加」「人件費削減」といったダイレクトなメリットがあります。
キャッシュレス決済を導入すると、レジ業務の簡略化による人件費の削減。
また、消費者が「キャッシュレス対応していないから利用しない」といった機会損失を減らすことができます。
2020年現在は、新型コロナの影響で落ち込んではいるものの、訪日外国人旅行客によるインバウンド消費も見逃せません。
韓国や中国ではキャッシュレス決済比率が非常に高いため、訪日外国人旅行客は、現金のみ対応の店舗を不便に感じることも多いといいます。
そのために見送られている消費が少なくないことは、想像に難くありません。
キャッシュレス決済の今後はどうなる?
それでは今後、国内のキャッシュレス化はどの程度進むのでしょうか?
経済産業省の商務・サービスグループが2020年1月に発表した『キャッシュレスの現状及び意義』によると、日本は2025年6月までにキャッシュレス決済比率を40%程度にすることを目標としています。
2020年現在の水準からすると、2倍近い水準となります。
また、時期は明らかにしていないものの、将来的には、キャッシュレス決済比率を「世界最高水準」となる80%程度にすることを目指しています。
さて、こうした高い目標は実現可能なのでしょうか?
諸外国と比較して、日本のキャッシュレス決済比率が低い理由は「現金へのなじみや安心感」といった心理的な側面や、単なる習慣が大きいと考えられます。
日本のキャッシュレス決済比率が上がらない特別なハードルがあるわけではないため、今後もキャッシュレス比率は上昇し続けるでしょう。
潜在的には日本が、韓国などのように9割近いキャッシュレス決済比率に近づくことも考えられます。
矢野経済研究所は、キャッシュレス決済のひとつであるQRコード決済の国内市場について、2024年度には10兆290億円まで拡大するとしています。
2019年度には1兆8369億円と推計されていたことから、5年で5倍以上に拡大することになります。
また、収束していない新型コロナウイルスへの警戒感も、接触が少ないキャッシュレス決済を後押ししています。
現金派はキャッシュレス決済に移行すべき?
現時点で「現金での支払いが多い」という方は、現金からキャッシュレス決済に移行すべきなのでしょうか?
結論として、可能であれば現金とあわせてキャッシュレス決済を使えるようにしておいたほうがいいでしょう。
なぜなら、素早く決済できるというメリットのほか、今後は電子マネーなどを活用して飲食店の支払いを割り勘したり、知人同士で電子マネーでお金のやり取りをする習慣が一般的になるからです。
政府としても、現金を流通させるためのシステムの維持(たとえば、紙幣の印刷やATM設置)には大きなコストがかかるため、キャッシュレス決済を後押ししてくるはずです。
「マイナポイント」のようなお得なキャッシュバックを受けられる事業が、今後も行われるかもしれません。
時代の流れと考え、キャッシュレス決済を試してみても損はありません。