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年末調整や確定申告の時期になると「扶養控除」という言葉をよく耳にしますよね。
扶養控除とは簡単に言うと、子供や親族を扶養親族に入れると扶養控除の対象になり、所得税と住民税が軽くなる制度です。
同居していなくても扶養親族に入れることは、可能です。
扶養控除とは
扶養控除は、納税者本人に扶養する親族がいる場合に所得金額から一定の控除を受けられる、所得税及び個人住民税が安くなる所得控除(人的控除)の一つです。
給与所得者の場合、1年間の給与収入から一定額を差し引いた額が給与所得になります。
具体的な計算方法については、以下の記事で紹介しています。
例えば、給与収入が65万円未満の方は、給与所得は0円になり、
給与収入が500万円の方は、給与所得は346万円になります。
税額の計算は、まず給与所得(総合課税の場合は給与以外の収入があればその対象所得を加えて)から12種類ある所得控除額を差し引いた課税所得を求めます。
扶養控除は、この所得控除の一つです。
実際に納入する税額は、所得控除を差し引いた課税所得をもとに税額を計算します。さらに、10種類ある税額控除を差し引いた額が最終の納税額になります(復興特別所得税額は加算)。
納税者に対象となる扶養親族がいる場合は、扶養控除を受けると税金が安くなります。
扶養親族(扶養家族)の対象
扶養控除の対象者には一定の要件があり、対象者によって控除額も異なります。
なお、配偶者(納税者と生計を一にする夫や妻)も扶養親族ですが、配偶者に関しては「配偶者特別控除」などの特別な控除が別であるため、単に扶養控除といった場合は「配偶者以外の扶養親族」を指すのが一般的です。
扶養控除の対象者
基本は以下の要件を満たす人が、扶養親族になります。
- 配偶者以外の6親等内の自分の親族及び3親等内の配偶者の親族
- 納税者と生活を一にしている
- 年間の合計所得金額が38万円以下
- 青色申告・白色申告の事業専従者でない
- 年齢16歳以上(上限はないが下限があります)
扶養親族に収入があると控除を受けられなくなります。
控除を受ける条件の合計所得金額(38万円)は、給与収入だけの場合は103万円、年金生活者は158万円に相当します。これ以上の収入のある扶養親族は、扶養控除を受けられません。
ちなみに、年の中途で死亡した場合も、その死亡日に上記要件を満たしていればば控除の対象になります。
「納税者と生活を一にする」とは
対象者の項目内にある生活を一にするとは、同居して日常の生計共にしていることを言いますが以下も含まれます。
- 単身赴任等で別居している家族
- 生活費、学費、療養費などを常に送金している別居している親族など
田舎に住んでいる父母や子供に仕送りをしているなども対象になります。
複数の子供が親に送金している場合でも、扶養親族にできるのは一人の子供です。
扶養控除額
扶養控除の控除額は、主に年齢により変わります。
控除額を下表に示します。
対象者 | 年齢 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|---|
子供 | 16歳未満 | 0円 | 0円 |
一般の扶養親族 | 16歳〜69歳 | 38万円 | 33万円 |
特定扶養親族 | 19歳〜22歳 | 63万円 | 45万円 |
同居老人親族 | 70歳以上 | 58万円 | 45万円 |
その他老人親族 | 70歳以上 | 48万円 | 38万円 |
16歳未満の子供は児童手当(子供一人あたり毎月5,000円〜15,000円)の対象になったことから、扶養控除からは外れました。
子供が16歳になったら、その年の年末調整に扶養控除の申告を忘れないでしましょう。一般の扶養親族の内、19歳〜22歳は特定扶養親族になり控除額が増額されています。
年齢は、その年の12月31日現在の年齢です。
収入制限がありますが、16歳以上であれば扶養控除は全年齢が対象です。
対象者ごとに扶養控除を受けられるので、扶養親族が増えると控除額も大きくなります。
実際の控除額はいくら?
税金の額は、収入(所得)により変わります。
田舎に住んでいる両親(70歳以上の老人親族で扶養控除の対象者)を扶養控除に入れた場合の安くなる税金(所得税)の目安を示します(高齢者でなくても扶養控除できます)。
納税額は、それぞれの方の控除額により変わるので、大まかな目安と考えてください。所得税以外に住民税も安くなります。
住民税は所得の10%なので、控除額(老人扶養親族2人で76万円)の10%近くが安くなる目安になります。
住民税は累進課税でないので、収入による減額は同じぐらいになります。
給与収入300万円のケース
給与収入300万円の場合、給与所得は169万5千円になります。
この給与所得の課税額は、8万5,000円程です。
両親2人の扶養控除額は上記の表から、48万×2人なので、96万円になり、控除後の給与所得は73万5千円になります。
この給与所得の課税額は、3万6,000円程になり、5万円ぐらい税金(所得税)が安くなります。
実際にはその他の控除があるので、税額はこの額より低くなります。
このケースの目安ですが、税額が5万円を超えていないと5万円は安くなりません(控除して所得がマイナスになると、所得は0円になります)。
給与収入700万円のケース
給与収入700万円の場合、給与所得は510万円になり、課税額は、59万円程です。
両親2人の扶養控除額は96万円なので、控除後の給与所得は414万円になります。
この給与所得の課税額は、40万円ぐらいになり、19万円ぐらい税金(所得税)が安くなります。