地球温暖化対策の「環境税」私たちの生活との関わりは?

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環境税という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。環境税は、環境保全のために設定されている税金のことを指します。各国に独自の環境税の仕組みがありますが、日本の環境税の負担金額や対象範囲はあまり多くはありません。

「SDGs」という言葉も浸透しつつある昨今、環境問題は無視することのできないテーマです。この記事では、環境税の意味と実情について解説していきます。

環境税とは

環境税は、自然環境の維持と管理を実現するための税です。日本ではあまり浸透していませんが、各国では様々な種類の環境税が施行されています。

環境税の対象となるのは、石油や石炭などの二酸化炭素を排出する資源を使った場合や、企業が商品の生産過程などで有害物質を排出した場合などです。

環境税の意義と目的は次の2つです。

  • 環境破壊の抑制と保全推進
  • 環境保全のための財源調達

まず大きな目的は、大気汚染や森林破壊などの環境負担の大きい社会活動に税金をかけることで、環境破壊に繋がる個人や企業の活動を抑制しようというものです。

環境負荷の程度によって税負担を重くしていく一方、環境保全に貢献する活動や、それに伴う事業などに対しては税率を下げることで、社会全体の環境意識を高め、環境保全推進を促していく狙いがあります。

また、環境の保全や改善には莫大な財源が必要です。環境税として徴収した資金を環境保全対策に投じることで、環境破壊を抑制したり、保全活動を活発化することも目的としています。

環境税の成果

環境税は短期間で大きく成果を上げられるものではありませんが、導入することで徐々に個人や企業の意識に定着するため、長期的な視点で見れば環境保全に結びつくのではないでしょうか。

たとえば、EU圏で導入されている「炭素税」は、石炭や石油、天然ガスなどの化学燃料に含まれる炭素の含有量に対して発生する税金です。課税によって化学燃料の排出を抑制し、結果的に二酸化炭素の発生を減少させることができ、一定の成果を挙げています。

日本では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2021年度の導入が延期になっているところです。今後の動向に注目しましょう。

環境税の問題点

環境税には、安易に導入すべきではないという意見も存在します。環境税施行によって起こりうる問題は以下の通りです。

  • 国際競争に対する懸念
  • 税負担による市場の縮小
  • 環境税の効果に対する疑問

国際競争に対する懸念

環境税を導入した場合、環境税未導入国の製品との間で格差が発生する懸念があります。環境税を導入している国の商品は高くなり、環境税を導入していないために安い値段で提供できる国の商品が流通するようになるかもしれません。

税負担による市場の縮小

温暖化などの原因となる温室効果ガス排出量は業界によって異なります。排出量に伴う課税によって業界衰退を懸念する声もあります。

環境税の効果に対する疑問

環境税の導入は国によって判断が異なり、導入国と非導入国が存在します。そのため、国際情勢によっては、環境税が課せられている企業が、環境税から逃れるために企業の拠点を非導入国に移すということも考えられます。そうすれば、一概に効果があるとは言えなくなるかもしれません。

日本の環境税

日本ではガソリンや軽油、石油ガスなどの使用に伴い発生する「エネルギー関係諸税」が施行されていますが、環境税という名目の税制は存在しません。

平成24年10月1日から施行されている「地球温暖化対策税」は、火力発電や自動車走行などの化石燃料利用に伴う二酸化炭素排出量を抑制することを目的とした税制です。

この制度では、すべての化石燃料の利用者に対して、二酸化炭素排出量に応じた納税義務を課しています。課税分は化石燃料の価格に反映され、間接的に消費者が税金を負担することになっており、具体的な負担額は1世帯あたり1ヶ月平均100円程度との試算が発表されています。

世界の環境税

世界に先んじて環境税導入を開始したスウェーデンやフィンランドをはじめ、ヨーロッパ諸国の多くで環境税が導入されています。

ヨーロッパでは財源の名目に関わらず、環境税の税収がその他の税金の減税、免税対策に使用されることが一般的です。環境税を義務化する代わりに、その他のエネルギー税の還付措置や、一定の条件を満たした企業に対する減免措置を行い、税金を効果的に利用し経済を活性化する施策が取られています。

まとめ

環境税と聞くとあまり馴染みがないかもしれませんが、日本で施行されている環境税は間接税的な意味合いが強いため、知らないうちに支払っている可能性があります。

現状の日本の環境税は進んでいるとは言い難く、国内の環境税制の整備には様々な意見があるため、ヨーロッパ諸国のような税制は導入されていません。今後どのような議論が行われていくのか、注目しておきましょう。

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