年金制度のこれまでの改正内容|2020年の年金制度改正法について

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老後の暮らしをみんなで支える仕組みである年金制度は、年金に加入すると老後の生活を支えてもらうだけでなく、自身が障害を負ったときや亡くなったときに自身や家族の生活も支えてもらえます。

このように、高齢者を支えるだけでなく自分自身や家族の生活も支える制度です。これまで何度かの改正があり、制度は保たれていました。

本記事では、これまでの年金制度改正の歴史についてお話ししていきます。

年金制度の概要

まずは年金制度の概要からおさらいです。
年金には、以下の種類があります。

種類国民年金厚生年金
老齢老齢基礎年金老齢厚生年金
障害障害基礎年金障害厚生年金
遺族遺族基礎年金遺族厚生年金

厚生年金は、国民年金(基礎年金)を含んでいます。

このため、1階部分を国民年金と同じ基礎年金、2階部分を厚生年金(報酬比例部分)と見立てた図で表現されます。 基礎年金と厚生年金をあわせて受給できます。

公的年金制度は、大きく以下の年金給付があります。

  • 高齢(基本は65歳)になると年金を受け取れます
  • 亡くなると遺族は遺族年金を受け取れます
  • 保険料払い込み中に障害を負うと障害年金を受け取れます

年金制度は、基本的に「世代間の支え合い」で運用されています。
このため、高齢社会になり年金受給者が増えて高齢者1人を支える人数が減っていくので、確定給付年金制度の制度改正が必要になってきました。

年金制度は、5年ごとに見直しが行われており、2020年は見直しの年にあたり、年金制度改正が予定されています。

主な年金制度改革の流れ

今の年金制度は、昭和17年(1942年)に始まりました。
昭和48年(1973年)までは、制度の拡充・充実に向けた改革が行われています。昭和60年ごろからは、少子高齢社会に対応するための制度改革が行われてきました。

主な改定を下表に示します。

改革年度改革の主な内容
昭和60年(1985年)基礎年金の導入
平成6年(1994年)厚生年金(定額部分)の支給開始年齢の引上げ
平成9年(1997年)三共済(JR共済・JT共済・NTT共済)を厚生年金に統合
平成12年(2000年)厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢引上げ、物価スライド
平成14年(2002年)農林共済を厚生年金に統合
平成16年(2004年)保険料率の段階的引上げ、マクロ経済スライドの導入
平成21年(2009年)基礎年金国庫負担割合2分の1の実現
平成24年(2012年)基礎年金国庫負担割合2分の1の恒久化、受給資格期間短縮
平成28年(2016年)マクロ経済スライドの見直し、物価スライドの見直し、賃金スライドの重視

年金制度改正は、大きく以下にまとめられます。

  • 高齢者も含めた全員での支えあえ「基礎年金国庫負担を2分の1」
  • 年金給付の抑制「マクロ経済スライド、物価スライド」
  • 年金給付の減額「賃金スライド」

マクロ経済スライド、物価スライドは、年金給付の増加を抑制する仕組みで年金自体が減ることはありませんでした。

2016年の改正では、賃金スライドが重視されることにより賃金の変動に合わせて年金額が減額される運びとなりました。実施は2021年からです。

今までの主な制度改正

2020年「厚生年金の支給開始年齢引上」

1941年4月2日(女性は1946年4月2日)生まれの方から老齢厚生年金の支給年齢が引き上げられ、1961年4月2日(女性は1966年4月2日)生まれの方から老齢厚生年金の支給年齢が65歳に引き上げられます。

2009年「世代間の支え合い」の調整

基本的に「世代間の支え合い」で運用されていますが、現役世代だけでなく全員で支える方向に来ています。

このことにより、国民年金及び厚生年金に共通の老齢基礎年金の保険料が加入者と国で折半になりました。税金負担を3割から5割に増大しています。

2004年「マクロ経済スライド」

マクロ経済スライドにより、マクロ経済変動時に年金額を抑える仕組みが導入されました。

マクロ経済スライドは、物価・賃金の上昇時に年金の増額を抑える仕組みで、年金給付額を減らす仕組みではありません。

2016年「物価スライドから賃金スライド重視へ」

物価スライドは、物価にあわせて年金給付額を変える仕組みで、基本的にインフレ時に年金が増えます。

賃金スライドは、賃金にあわせて年金給付額を変える仕組みで、基本的に賃金が下がると年金受給額が減ります。

2016年の改正からマクロ経済スライドや物価スライドに比べて賃金スライドが優先されるようになりました。

賃金スライド重視は、2016年の改正ですが実施されるのは2021年からになります。

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