生命保険料控除とは?節税のための知識をわかりやすく解説

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生命保険料控除は、所得控除のひとつです。生命保険料が所得から控除されて節税にもなるため、生命保険を契約している場合は確認しておきたい制度です。

健康保険や国民年金の保険料を支払うと「社会保険料控除」として所得控除を受けることができますが、民間の生命保険や地震保険の保険料についても、いざという時のための備えを自分自身で行なっているということで、税負担を減らしてもらえるのです。

この記事では、生命保険料控除の概要と仕組み、控除額を解説していきます。

生命保険料控除とは?

生命保険料控除とは、保険料を支払うとその保険料に応じて一定金額がその年の所得から控除される制度です。対象となるのは、以下の保険料です。

  • 生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

これらの保険料を支払っている人は、申告を行うことでこの制度を利用することができ、所得税や住民税を軽減することができます。

生命保険以外の、自動車保険などの民間の保険も控除の対象になりますか?

民間の保険で控除の対象になるのは、生命保険と地震保険のみです。

ただし、生命保険の控除は「生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠組みに分かれています。これらの控除枠を有効に活用できているかも合わせてご確認ください。

控除を受けるためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。各控除の対象となるための要件を見ていきましょう。

生命保険料控除の対象要件

一般の生命保険料控除の要件

生命保険料控除の要件を満たすためには「保険金受取人は誰になっているか?」がポイントになります。

  • 保険金受取人:本人か配偶者、その他一定の親族
  • 対象となる契約:生命保険会社、旧簡易生命保険、農協等との生命共済など

個人年金保険料控除の要件

個人年金保険料控除の対象となるのは、以下の要件を満たす契約です。

  • 年金受取人:本人か配偶者で被保険者と同一人
  • 払込期間:払込期間が10年以上(一時払契約は対象外)
  • 確定年金・有期年金:年金支払開始日の年齢が60歳以上で支払期間が10年以上

税制適格特約のセットが必要で、セットされていないと一般の生命保険控除の対象になります。

介護医療保険料控除の要件

介護医療保険料控除の対象となるのは、以下の要件を満たす契約です。

  • 保険金受取人:本人か配偶者、その他一定の親族
  • 平成24年1月1日以後の契約で医療・介護による支払保険

貯蓄型保険や傷害保険、海外の保険会社と国外で契約した保険、5年未満の保険期間の契約は対象外です。

生命保険や地震保険には、収入の何%を回せば良いですか?

一般的には年収の7%~10%を回すという方が多いようです。ただし、保険の本質はあくまでもその方のリスクに備えるものです。

ご家庭の状況やご家族構成など、不安な内容は家庭によって大きく異なります。「どんなリスクにいくら備える必要があるのか?」を整理してみてはいかがでしょうか。

なお、地震保険(火災保険)は基本的に建物の評価額によってある程度の加入すべき補償額が決まってきますのでご注意ください。

生命保険料控除制度の控除額

生命保険料控除制度を利用することで、

  • 所得税
  • 住民税

の課税対象となる所得金額から一定の金額が控除されます。控除金額の計算方法は支払った保険料によって異なりますが、上限は

  • 新制度:所得税12万円・住民税7万円
  • 旧制度:所得税10万円・住民税7万円

となっています。

生命保険料控除の控除対象となる保険料は、実際に払込んだ保険料(正味支払保険料)です。配当金などは含まれません。また、支払期日が到来した保険料であっても、実際に払込んでいない分は含まれません。

ただし、自動振替貸付により保険料の払込に充当した金額は、実際に払込んだ保険料に含まれます。

生命保険料控除の制度は、平成24年から改正されています。そのため、平成24年1月1日以後の契約(新保険)とそれ以前の契約(旧保険)で控除額の適用限度額が異なるので注意して下さい。

新制度の生命保険料控除額

新制度における所得税の生命保険料控除額の計算方法は次のようになっています。

払込保険料控除額
20,000円以下全額
40,000円以下年間払込保険料×0.5+10,000円
80,000円以下年間払込保険料×0.25+20,000円
80,000円超一律40,000円

新制度に置ける住民税の生命保険料控除額の計算方法は次のようになっています。

払込保険料控除額
12,000円以下全額
32,000円以下年間払込保険料×0.5+6,000円
56,000円以下年間払込保険料×0.25+14,000円
56,000円超一律28,000円

旧制度の生命保険料控除額

旧制度における所得税の生命保険料控除額の計算方法は次のようになっています。

年間払込保険料控除額
25,000円以下全額
50,000円以下年間払込保険料×0.5+12,500円
100,000円以下年間払込保険料×0.25+25,000円
100,000円超一律50,000円

旧制度における住民税の生命保険料控除額の計算方法は次のようになっています。

年間払込保険料控除額
15,000円以下全額
40,000円以下年間払込保険料×0.5+7,500円
70,000円以下年間払込保険料×0.25+17,500円
70,000円超一律35,000円

新・旧保険契約がある場合の控除額

新保険と旧保険がある場合は、どちらの保険料控除を申告しても構いません。
ただし、最高限度額は、12万円(住民税は7万円)になります。新・旧生命保険料、介護医療保険料、新・旧個人年金保険の区分は、生命保険会社等が発行する証明書に記載されています。

生命保険料控除の申請方法

生命保険料控除は、支払えば自動で控除されるものではありません。

申告しないともったいない制度ですので、生命保険料・地震保険料を支払っている人は必ず申告しましょう。

会社員と自営業で申告の方法が少し異なりますが、共通して必要になるのが

  • 生命保険料控除証明書

です。これらは、保険会社から送付されます。申告の時期まで保管しておきましょう。誤って破棄してしまった場合は、再発行してもらえる場合もあるので問い合わせてみて下さい。

生命保険や地震保険を途中で変えた場合、控除の申請が煩雑になりますか?

切り替え前後の各保険会社から、その年の払込保険料に応じた保険料控除証明書が届く事になります。その為、切り替えた年はいつもより多くの保険料控除の内容を記入する事になります。

申請の手続き方法が変わる訳ではありませんが、書類が多くなるため面倒に思われるかもしれません。 控除証明書をしっかり保管し、一つ一つ確認しながら申請して下さい。

会社員の場合は年末調整で

会社員の場合は「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入し、「生命保険料控除証明書」「地震保険料控除証明書」を添付して年末調整の申告と一緒に提出します。

「給与所得者の保険料控除申告書」は国税庁ホームページで入手することができます。

会社員でも、副業を行っている場合は会社の年末調整でなく全部自分で確定申告を行なった方が良いですか?

基本的には生命保険料控除の手続きはお勤めの会社の年末調整で行う方が一般的です。

副業での収入により確定申告が必要となっていても、所得税の計算はすでに完了している年末調整の結果も合算される為、どちらで行っても結果は同じとなります。

自営業の場合は確定申告で

自営業の場合は、確定申告のときに所定の欄に保険料の支払額を記入し、「生命保険料控除証明書」「地震保険料控除証明書」を添付して提出します。

独身でも、生命保険に加入しておいた方が良いですか?

生命保険といっても「死亡時の備え」「病気やケガへの備え」「将来に向けた貯蓄の備え」など、保障の目的は商品によって異なります。独身であっても、これらの中で不安事や必要性があれば、目的に応じた保険へのご加入をオススメ致します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
生命保険料控除は、支払った生命保険料を所得から控除できる制度です。節税になるため、生命保険を契約しているなら必ずチェックしておきたい制度だと言えます。

新制度と旧制度で控除額が異なるので、よく確認しておきましょう。

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