少子高齢化により高齢者が増えていくだけでなく、高齢者の寿命も予想以上に延びています。
100歳以上の人口は、以下のように予想されています。
- 1963年:153人
- 1985年:1,740人
- 2000年:13,036人
- 2017年:67,824人
- 2050年:532,000人(予測)
このように、人生100歳時代を迎えるときが近づいています。
公的年金は一生涯受給できるので、長生きしても受給し続けることができます。
令和元年5月に金融庁で出した報告書では、公的年金のモデル家庭でも月5万円の赤字になると記載されています。
このように、公的年金だけで老後資金をまかなえる家庭は少なく、公的年金を補う資金作りが望まれます。
その一つ方策に、トンチン年金があります。
平均余命
何歳ぐらい生きれるかは平均寿命で考えがちですが、実際には平均余命で考える方があっています。
平均余命は、ある年齢の人がその後何年生きられるかの期待値です。
平均寿命は0歳児の平均余命で、年齢が上がると年齢に平均余命を加えた生きていける年齢の期待値が延びていきます。
平成28年簡易生命表によると、男の平均寿命は80.98年、女の平均寿命は87.14年になっています。
平成28年に示された主な年齢の平均余命は、下表のようになっています。
年齢 | 男 | 女 |
---|---|---|
0歳 | 80.98年 | 87.14年 |
20歳 | 61.34年 | 67.46年 |
30歳 | 51.63年 | 57.61年 |
40歳 | 41.96年 | 47.82年 |
50歳 | 32.54年 | 38.21年 |
60歳 | 23.67年 | 28.91年 |
70歳 | 15.72年 | 19.98年 |
80歳 | 8.92年 | 11.82年 |
90歳 | 4.28 | 5.62年 |
年齢に平均余命を足した数字が、これから生きていける期待値です。
例えば、50歳男性は82.54歳、50歳女性は88.21歳まで生きていけると期待できどちらも平均寿命よりも長生きできます。
トンチン年金保険
長寿時代を迎え、個人年金保険も公的年金と同じ様に一生涯受給できる終身年金を期待したいところですが、一生涯受給できる終身年金は、保険料が高くなる問題があります。
その解決策に、年金受給開始前に死亡した人への死亡保険金あるいは解約返戻金を抑えて、その分を長生きした人への年金に回して保険料を抑えるのが、トンチン年金保険です。
トンチンは、この仕組みを考えた17世紀のイタリアの銀行家ロレンツォ・トンティ氏に由来する言葉です。
一般の年金保険で有期の10年保証の10年確定年金と10年保証の終身年金の保険料は、三井住友あいおい生命5年ごと利差配当付個人年金保険を例にとると以下の様に違います。
- 30歳男性が65歳から年額60万円確定年金の月額保険料は14,094円
- 30歳男性が65歳から年額60万円終身年金の月額保険料は31,194円(2口加入)
第一生命とんちん年金「ながいき物語」
トンチン保険の例として、とんちん年金「ながいき物語」を紹介します。
特徴
この保険は契約年齢50歳〜80歳の方が対象で、その特徴を以下に示します。
- 年金受取開始前の死亡時や解約時の返還金を抑えることで長生きを応援
- 一生涯と期間を決めて受取る選べる年金受取方法
- 告知や医師の診査なしで申し込める手続きが簡単
- 個人年金控除が受けられ税負担が軽減(所得税最大40,000円、住民税最大28,000円)
契約例
ライフプランに応じて、以下を選択できます。
- 保険料払込期間は、最短で5年
- 年金受取開始年齢は、60歳〜90歳まで
- 年金受取期間は、5年・10年・15年の確定年金あるいは10年保証付終身年金
年金受取開始前に死亡すると、保険料の累計額の7割が戻ってきます。
この差額が、高齢者に回るトンチン年金になります。
以下に示す契約を例にとり、年金額を比べて見ます。
- 契約年齢:55歳
- 保険料払込期間:70歳まで
- 年金受取開始年齢:70歳から
- 月額保険料:54,000円
10年保証期間付終身年金
一生涯年額で男性は51.11万円、女性は41.08万円を受け取れます。
年金受取総額が保険料の総額を上回るのは、男性で89歳、女性で93歳です。
100歳まで生きていると返還率は、男性で163.0%、女性で131.0%になります。
10年確定年金
10年間年額、男性は102.18万円、女性は101.37万円を受け取れます。
確定年金なので、10年間は年金受取の保証があります。
10年間年金を受け取った場合の返還率は、男性で105.1%、女性で104.2%になります。
現在、円建ての個人年金保険は予定利率が非常に低いため高い利回りが期待できません。
そんな中で、お勧めしたいのは「米ドル建ての年金支払い型保険商品」です。保険会社は、預かった保険料の運用を高い割合で国債で運用します。従来の円建て保険は日本の国債(現在0.01%ほど)で運用しますが、米ドル建て保険は米国債(現在2.00%ほど)で運用します。
円建ての個人年金保険の年金受取率は110%に届きませんが、米ドル建て年金受取型ですと130%を超えてきます。為替のリスクはあるものの、魅力的な利回りと考えます。
トンチン年金保険のメリット・デメリット
トンチン年金保険は、相対的に安い保険料で年金を一生涯受け取れることがメリットです。
トンチン保険は、生きている限り年金を受け取れますので、長生きをすればするほどお得な制度です。逆に受給開始前や受給開始数年で亡くなられてしまうとかなり損になります。皆様から集めたお金を短命な方に支払われなかった分、長生きした方に支払う仕組みです。
例に取り上げた、とんちん年金「ながいき物語」では、男性で89歳、女性で93歳を超えないと元本割れになりますが、思ったより長生きする長寿時代を迎えるにあたっては、一生涯受給できるトンチン終身年金保険は検討に値すると言えます。