連載企画:つみたてNISA/iDeCoはなんのためにあるの?そもそもどんな制度なの?
▶前回の内容:つみたてNISAとiDeCoの違い|それぞれの特徴を解説
つみたてNISAは、長期間の積立と分散投資を支援する非課税制度です。
最大年40万円を最大20年間積立られます。
1口座最大年40万円積立てられますが、1人1口座で複数口座は開設できません。
つみたてNISAとその前の一般NISAは、どちらか1つを選択し、つみたてNISAは、以下に示す順序で始めます。
- つみたてNISA用の口座開設
- 積立目標に合わせて金融商品の選択
- 選択した商品の評価・変更「ポートフォリオ運用」
口座開設の手順
つみたてNISAの口座を開設できるのは、証券会社と金融機関(銀行、ゆうちょ銀行、JAバンク、信用組合など)です。
以下のようにして、口座を開設します。
口座開設の手順
- 1.証券会社・金融機関の選択
- 取り扱っている金融商品、手数料、サービスなどから金融機関を決定します。
- 2.開設先に口座開設の申し込み
- 口座開設先を決定し、申込用紙を受け取ります。ホームページからもダウンロードが可能です。
- 2-1.銀行での例
- 普通預金口座を開設(すでに総合口座はある場合開設不要)
- 投資信託口座を開設
- つみたてNISA口座の申込(マイナンバーと身分証明書のコピーを添付)
- 銀行が税務署に確認書交付申請
- 税務署の審査(1ヵ月程度)
- 審査が通ればつみたてNISA口座を開設
- 積立の開始
金融商品の選択
積立目標に合わせて金融商品を選びます。
金融商品は、口座を開設する証券会社や金融機関で用意されています。
金融商品の種類
- 〇つみたて日本株式
- TOPIX、日経平均株価の指数に変動するものがあります。
- 〇iFree JPX日経400インデックス
- 日本の株式市場に投資することを目的としたインデックスファンド。
- 〇つみたて先進国株式
- 日本を除く先進国の株式で、MSCI Kokusai Indexと連動する投資成果を目指した運用です。
- 〇つみたて新興国株式
- 新興国の株式に投資し、MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動する投資成果を目指した運用です。
- 〇iFree S&P500インデックス
- 大和証券投資信託委託株式会社が設定・運用するインデックスファンドです。
- 〇つみたて8資産均等バランス
- 国内・先進国・新興国株式、国内・先進国・新興国債券、国内・先進国リートの8つの資産に均等分配します。
- 〇株式だけのつみたて4資産均等バランス
- 日本国内と日本を除く先進国の国内・先進国株式、国内・先進国債券にそれぞれ25%ずつ投資する商品です。
- 〇野村6資産均等バランス
- 国内・外国株式・債券、国内・外国リートといった6つの資産に分散投資する商品です。
- 〇運用のプロが厳選した企業に投資するアクティブファンド
- 投資環境などの要因で商品ごとに運用成績が異なります。
金融商品の選択例
月々の積立金、積立期間、年利から鑑みてどういった運用方法が良いかケース別で紹介します。
初めてにおすすめのインデックス運用
始めやすい商品には日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等に連動するインデックス運用があります。
毎月3万円ずつ5年間、年利5%で運用できると積立金180万円が204.3万円になります。
月々の積立金 | 3万円 |
期間 | 5年間(計180万円) |
年利 | 5% |
運用後 | 204.3万円 |
「始めやすさ」の基準はどのようなものがあるのでしょうか。
「始めやすさ」はアドバイスしてくれる人がいたら、つみたてNISAもiDecoも基準は特に無いと思います。
1人で始める場合で、ネットで始める時は、口座が開設しやすいか?金融機関のカスタマーの対応が良いか?などが基準になってくると思います。
リスクを抑えながら老後を備えるバランス型運用
リスクを抑えたいケースには、値動きの異なる複数の投資対象に分散投資することで安定した運用を目指すバランス型運用があります。
毎月3万円ずつ8年間、年利3%で運用できると積立金288万円が324.7万円になります。
月々の積立金 | 3万円 |
期間 | 8年間(計288万円) |
年利 | 3% |
運用後 | 324.7万円 |
高いリターンを狙うアクティブファンド運用
このようなケースには、国内外の株式で値上がりを期待するハイリスク・ハイリターンのアクティブファンド運用があります。
アクティブファンド運用はリスクもあるので、リスクの低い運用と組み合わせて行うのが良いでしょう。
毎月5千円ずつ5年間、年利8%で運用できると積立金30万円が36.7万円になりますが、年利-2%の運用になると約28万円になり元本割れになります。
月々の積立金 | 5千円 |
期間 | 5年間(計30万円) |
年利 | 8% |
運用後 | 36.7万円 |
一定の金額を低いリスクで貯める投資信託
このようなケースには、国内の公社債の比率の高い投資信託があります。
毎月4万円ずつ8年間、年利1.2%で運用できると積立金384万円が402.6万円になります。
月々の積立金 | 4万円 |
期間 | 8年間(計240万円) |
年利 | 1.2% |
運用後 | 402.6万円 |
子供の将来の教育費を貯めるための運用方法
このようなケースには、投資信託とジュニアNISAを組み合わせると良いでしょう。
毎月2.5万円ずつ8年間、年利3%で運用できると積立金240万円が270.8万円になります。
月々の積立金 | 2.5万円 |
期間 | 8年間 |
年利 | 3% |
運用後 | 270.8万円 |
掛け金は収入のどの程度までの金額にするのがいいでしょうか。
その方の生活環境、収支の内容によって全然違ってきます。初めて始める時は収入の1割以内に収まるくらいからが良いと思います。
商品の評価・変更を行うポートフォリオ運用は必須
選択した商品はそのままにしておくのではなく、運用成績の確認・評価と運用成績が良くなければ、商品の再選択や変更を行うことが利益を増やすために不可欠です。
ポートフォリオは、投資の原則である分散投資の効果を使って、リスクを抑えながらできるだけ高い収益を得ることを目標に金融商品を組み合わせることを言います。
金融商品にはさまざまなリスクがあり、そのリスクをコントロールするには、1つに集中して投資するのではなく、投資する「対象」の分散、投資する「時期」の分散、投資する「時間」の分散をする方法があります。
つみたてNISAを始める時もですが、その後の運用をどうするか悩んだ際は独自で判断するしかないのでしょうか。
その際は資産形成や運用が得意なファイナンシャルプランナーにご相談されてみるのが良いと思います。
次回はiDeCoの始め方についてお話しします。
▶ iDeCoの始め方と商品の選び方
まとめ
- 〇つみたてNISAは、長期間の積立と分散投資を支援する非課税制度
- 〇選択した商品はそのままにしておくのはNG
- 〇選択した商品の評価・変更をする「ポートフォリオ運用」が重要
- 〇ポートフォリオはリスクを抑えながら高い収益を得ることを目標に商品を組み合わせる事
- 〇投資は分散させて行う