【年金制度改正を学ぶ】公的年金制度の概要とその利点について




2020年に年金制度のルールが改正されますが、そもそも公的年金制度とはどういったものでしょうか。

今回は年金制度改正を迎えるにあたり、知っておきたい年金制度の概要と改正内容をシリーズで紹介していきます。

そもそも年金制度とは戦前の被用者年金(厚生年金)が始まりで国民年金より厚生年金が早く発足しています。
全ての人が加入する事となっている年金制度は、国民年金が制度化された昭和36年(1961年)が始まりと言えます。

始まりは余裕のある時代だったこともあり、加入者に有利な制度になっていますが、その後、時代がたつにつれ課題も出てきています。

まずは、年金制度の概要からお話ししていきます。

公的年金制度の概要

「公的年金」とは、国が運営する年金全体を指し、日本に住んでいる全ての20歳以上60歳未満の人達は公的年金に加入することになっています。

現在の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。

〇「国民年金」
誰もが加入する国民年金(基礎年金)
〇「厚生年金」
企業の従業員や公務員が加入

厚生年金とは、主に会社員やその家族が定年退職後、給与に変わり収入を補償するための制度で、「国民年金(基礎年金)」に加え「報酬に比例した年金を受け取る厚生年金」を受け取ることができます。

「国民年金(基礎年金)」 +「厚生年金」を受けとることができる事から、公的年金制度は2階建てと言われています。その詳細は以下の様な構造となっています。

〇1階部分
「国民年金」「厚生年金」共通の老齢基礎年金
〇2階部分
「厚生年金」加入者対象の老齢厚生年金

第1号被保険者

第1号被保険者とは、 「国民年金(基礎年金)」 のみ加入している人を指し、自営業をはじめとるする、従事者、学生、無職の方などが含まれます。

第2被保険者

第2被保険者とは、会社員や公務員など「国民年金(基礎年金)」に加え「厚生年金」にも加入している人の事です。保険料の金額は収入によって変わり、勤務先と被保険者が折半し支払い仕組みとなっています。

支払い方法は、勤務先がまとめて支払った後に、被保険者の毎月の給料、ぼーなるから負担する分を差し引かれる形です。

給与明細で「厚生年金保険料」と記載されているかと思いますが、内訳には国民年金(基礎年金)保険料も含まれています。

第3号被保険者

第3号被保険者とは、専業主婦(夫)など、第2号保険者に「扶養」されている配偶者の事で、第1号被保険者と同様、国民年金(基礎年金)のみの加入です。

第2号被保険者に扶養されているため保険料の支払いはありません。

公的年金の受け取りは「老後」「障害」「遺族」の3パターン

年金を受け取れるのは老後だけではありません。公的年金の給付パターンは「老後年金」「障害年金」「遺族年金」の3パターンです。

年金種類受給者受給条件
老齢年金被保険者本人65歳を迎えた方
障害年金被保険者本人 障害認定を受けた方
遺族年金 被保険者の遺族被保険者が死亡した時

公的年金制度の特徴とメリット

公的年金制度は、以下の特徴のある有利な制度です。

〇誰でも加入
日本に住所のある20歳〜60歳まで保険料の支払い
〇生涯受給
基本的に65歳から一生涯受給
〇年金額の保証
経済状況にあわせ年金の価値の保証
〇働けなくなった時の保障
障害年金と遺族年金
〇国庫負担
基礎年金保険料は国と折半
〇厚生年金
雇用者と保険料を折半
〇日本年金機構事業交付金
年金制度は税金で運営など

また、国民年金(基礎年金)は65歳から年金の受け取りを開始しますが、厚生年金は生年月日により65歳よりも早く受け取ることが可能です。

男性は昭和16年4月1日、女性は昭和21年4月1日生まれの方は、60歳から受給します。なお、出生年が後になると受給開始が遅くなり、男性は昭和36年4月2日、女性は昭和41年4月2日生まれの方からは65歳からの受給になります。

受け取る年金額は加入(保険料払込)期間と報酬(厚生年金)により変わりますが、加入期間・厚生年金の条件が同じでは一生涯年金額の価値は変わりません。

物価スライド制による価値の変動

価値が変わらないというのは、物価スライド制によるものです。

物価スライド制とは、年金額の実質価値を維持するため、物価の変動に応じて年金額を改定することをいいます。現行の物価スライド制では、前年(1から12月まで)の消費者物価指数の変動に応じ、翌年4月から自動的に年金額が改定されます。私的年金にはない公的年金の大きな特徴です。

https://www.nenkin.go.jp/yougo/hagyo/bukkaslide.html

仮に、物価スライド制により、物価上昇時した際は、年金受給額が増えるため、貯蓄や民間保険にない公的年金制度のメリットと言えます。

民間保険と公的年金制度の違い

民間保険は保険料で運営されますが、年金制度は税金で運営され保険料は年金に充てられます。 税金投入予算額は、以下のように推移しており、年々増加している傾向にあります。

  • 平成26年度:1,461億21百万円
  • 平成27年度:1,502億95百万円
  • 平成28年度:1,510億99百万円
  • 平成29年度:1,594億50百万円
  • 平成30年度:1,851億04百万円

民間個人年金保険に比べた公的年金制度

年金制度も、国民年金保険や厚生年金保険というように保険の一種です。

保険は多数の加入者が保険料を出し合い、病気やケガ、死亡などの保険事故が発生したときにその損害を埋め合わせる制度であり、それぞれ以下に示す違いがあります。

〇年金制度
国に運営責任があり、基礎年金は保険料と同額を国も負担(国と折半)
〇年金保険
保険会社に運営責任があり保険料は加入者が全額負担

年金受給額は条件により異なりますが、大まかに比較すると下記の表のようになります。

※民間個人年金保険は、55歳契約、10年保障付終身年金を例にとります。
※国民年金保険料と年金額は、令和元年度と同じ額で計算します。

区分個人年金男性個人年金女性国民年金
加入年齢55歳55歳20歳
払込満了70歳70歳60歳
払込期間25年25年40年
年金受取70歳70歳65歳
月額保険料5.4万円5.4万円1.6万円
保険料総額972万円972万円787万円
年金年額51万円41万円78万円
元の取れる年齢89歳93歳75歳
100歳での返還率163%131%346%

これは大まかな比較ですが、「国民年金」は民間の「個人年金」に比べ返還率が非常に高くなっており、約10年ほどで元がとれることからも有利な制度と言えます。
また、厚生年金は、国民年金と同額の老齢基礎年金と老齢厚生年金をあわせて受け取るので、さらに有利な制度です。

物価上昇が続くと個人年金の年金額は固定のため価値が減りますが、公的年金は、物価上昇時には物価スライド制度により年金受給額が増えます。

増減は年金の価値が同じになるようにされますが、平成16年度改革法のマクロ経済スライドにより増額額が調整(減額)されます。

公的年金制度の課題

公的年金制度と違い、個人年金保険は保険料を積み立て、積み立てた保険料を保険会社が運用して年金を支払うため、約束した年金額を受け取れます。

一方で公的年金制度は、基本的に世代間の支え合い。
しかし、少子高齢化が進んでいるので、保険料を払込む加入者が減り、年金受給者が増えているのが現状であり、 少子高齢化が公的年金制度の課題です。

このままでは、受給者が増え支える人が減っていくので、現状の年金制度そのままでは維持することができなくなるため、年金制度改革が必要になってきました。

そこで次回は「年金制度改革の必要性」についてお話していきます。