この記事の監修

三保 秀人(みほ ひでと) ファイナンシャルプランナー
FP事務所ワールドパートナーズ
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定) プライベートバンカー 宅地建物取引士 住宅ローンアドバイザー 相続診断士(日本証券アナリスト協会認定) (財団法人 不動産適正取引推進機構認定)(財団法人 住宅支援協会認定)(社団法人 相続診断協会認定)
新卒で不動産会社に勤務し、不動産投資・住宅ローンについて学ぶ。 その後大手総合保険代理店へ転職。2014年に独立系FP事務所を設立。2019年現在、コンサルティング実施世帯は1,500組以上にのぼる。
趣味は写真を撮ること・野球観戦。
連載企画:貯蓄と貯金の違い分かりますか?重要なのは貯蓄を増やすこと!
「老後資金のために貯蓄をしたい」
「節約してもなかなかお金がたまらない」
「貯蓄に回す元手がない…」
お金をためる際にこのようなことを考える人が多いと思います。前回、なぜ貯蓄をしなくてはいけないのか、貯金ではだめなのかという疑問に対して、貯蓄の必要性についてお話ししました。
「貯蓄」に回す元手を増やすために「節約」するのは間違いではありませんが、全員が節約して全員お金が貯まるかと言ったらそうではありません。
そこで今回は、節約ではなく、元手を増やす方法として、お金の使い道についてお話していきます。ポイントは「消費」「浪費」「投資」の違いを理解することです。
お金の3つの使い道

お金の使い道は大きく分けると「消費」「浪費」「投資」の3つに区分されそれぞれ特徴が違います。特に「浪費」と「投資」の区別が難しく、本人が意識しない限り上手に使い分けることができません。
- 〇消費
- 日々生活していく上で欠かせないモノの購入や使用料です。家賃、食費、通信交通費、水道光熱費などが該当します。
- 〇浪費
- 必要以上の贅沢や、無駄な出費のことです。衝動買いした一度も使わなかった物の代金、自分に全くメリットのない飲み会の支出などが該当します。
- 〇投資
- 後々リターンが見込まれる投資費用のことです。株式投資や貯蓄、スキルアップのためのセミナー費、書籍費などが該当します。
一般的に家計簿の支出費目(家賃、光熱費、食費、日用品 等)で分ける方法がありますが、「消費」「浪費」「投資」の3つに分類してみましょう。そうすると、金銭管理での無駄がみえてきます。
例えば「消費」は払った金額と同等の価値、「浪費」は払った金額相当の価値を生まなかったもの、「投資」は払った金額以上の価値を生むものであるともいえます。
理想とされるのが投資の割合を増やし、浪費は可能な限りゼロに近づけることです。
理想的な支出の比率

では極端に投資を増やせばいいのかと言えばそうではなく、家計管理をする上で理想的な支出の比率は、 「消費」70%「浪費」5%「投資」25%と言われています。
毎月、消費85%、浪費9%、投資6%という割合であれば、働いて得たお金を生きるためだけに使い、投資的な使い方ができていないことが分かります。
このように、自身のお金の使い方を振り返り、バランスを整えていくことができます。
消費の割合が高い場合、どのように理想比率に近づければ良いですか?
体重計に毎日乗ることがダイエットという言葉があるように、まずは現状把握をすること、そして使ったものを記録することから始めましょう。
記録することで自分自身の意識も変わってくるかと思います!最近は色々な無料アプリもありますので、使いやすいものを探してみてくださいね!
3つの区分を判断する方法
3つの区分のどれに該当するか判断に迷うケースもあります。
例えば旅行は、娯楽費として「浪費」に分類されるとも考えられますが、リフレッシュして新たな気持ちで仕事をするための「投資」の側面もあります。
痩せるための「自己投資」として買ったダイエット器具や健康食品を使わなかったとしたら、それは「投資」ではなく衝動に駆られて買ってしまった「浪費」ということになります。
分類に主観的な要素が入ってくるところもありますが、過去の支出の実績から、冷静に見極めていきましょう。
「投資」や「消費」のつもりで買ったものが実は「浪費」になっていないかは、買ったものをリスト化しておいて、それをどのくらい使ったか、使ってどの程度満足が得られたかを記録してみるのも有効です。
娯楽に関する費用の仕分けに迷う人が多いと聞きます。浪費と投資の差はなんでしょうか?
難しい質問ですね・・・
お酒を飲む交流会がAさんにとっては「浪費」だけど、Bさんにとってはビジネスに繋がる「投資」かもしれない。
ご自身の健康や収入アップに繋がるようなものを私は「投資」と定義しています。
自分自身だけで判断すると甘くなりがちなので、FPさんに相談しながら区分けしていくのがいいでしょう。
節約をすればいいは間違い
毎日の買い物で少しでも安いものを買おうとしたりすることも貯蓄に効果がないわけではありませんが、収入から「〇〇円使って〇〇円貯金する」といった方針を立てておかないと、お金を確実に貯めるのは難しいです。
10円のものを3割引で買った場合、3円の得にしかなりません。
10,000円のものを1割引で買った場合は、1,000円の得になります。
闇雲な節約は、少ない桁の金額のやりくりにエネルギーを使ってしまい、全体像が見えなくなる落とし穴があります。
生活を不便にしてまで入浴時の水道代を徹底的に減らそうとしたり、1円でも安く買うためにスーパーを何軒も回ったりするのは、労力に対して金銭的利益が大きいとは言えません。
そこに使う時間や労力を、全体像を見て支出の計画を立てることに充てるべきです。
闇雲に節約を気にするのではなく、貯蓄の定義である「蓄えること」を意識して、お金を増やすために支出をコントロールしていきましょう。
そうはいっても「浪費」を抑えることは難しいです。そこで次回は、無駄使いを減らすための方法についてお話しします。
▶ 無駄遣いを減らす・なくすために家計簿をつけよう
まとめ
- 〇お金の使い道は消費、浪費、投資に分かれる
- 〇理想的な支出の比率は消費70%、浪費5%、投資25%
- 〇区分を判断するために買ったものはリスト化する
- 〇節約と貯蓄は異なる
- 〇確実に貯蓄するには、支出をコントロールすることが大切
イラスト:萩原まお
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