年金制度は、現役世代が支払った保険料を高齢者に年金として給付する「世代間での支え合い」が基本です。 20歳から60歳まで保険料を納付し、65歳から納付した保険料に応じて年金を受給します。
誰でも国民年金に加入することが義務付けられていますが、短期間のみ保険料を支払っても受給資格期間に満たないと年金を受給できません。
公的年金は、年金を受給するために最低限必要な期間である受給資格期間を設けています。「保険料を納付した期間」「免除された期間」「猶予された期間」は、受給資格期間に含まれていますが、未納期間は含まれていません。
老後の年金を受給するには、原則として25年以上の受給資格期間が必要でしたが、平成24年(2012年)の年金法改正により2017年8月からは、年金の受給資格期間が25年から10年に短縮され、10年以上あれば年金を受給できるようになりました。
受給資格期間の内訳
これまでの国民年金受給資格期間は、25年以上でした。25年以上加入(保険料の払込)すると65歳から国民年金(老齢基礎年金)を受給できます。
受給資格期間は年金保険料の払込期間が原則ですが、正確には、以下で計算される期間になります。月単位で計算しますので、25年は300ヶ月になります。
これが、平成29年(2017年)8月1日からは以下を合計して120ヶ月(10年)を満たせば、国民年金を受給できます。
- 国民年金の保険料納付期間
- 保険料免除期間
- 合算対象期間(納付猶予制度、学生猶予制度)
保険料免除制度とは
保険料免除制度は、前年度所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合には、申請して承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。免除になる所得の目安を以下に示します(前年度所得で計算します)。
- 〇全額
- (扶養親族等の数+1)*35万円+22万円
- 〇4分の3
- 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 〇半額
- 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 〇4分の1
- 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
保険料の全額を免除された期間については、全額納付した場合の年金額の2分の1は支給されます。もし免除を受けないで未納のままにしておくと、その期間に相当する年金額は受け取れない為、免除を受けれる方で保険料の払い込みが困難な場合は免除の申請をするようにしましょう。
免除を受けている期間は、年金受給額が減額されますが、申請をしておくと過去10年間の保険料を追納することができます。追納する額は、免除される種類にって変わります。
納付猶予制度とは
納付猶予制度は、20歳から50歳未満の方で、前年所得が一定額以下の場合には、申請して承認されると保険料の納付が猶予される制度です。
納付猶予期間は、受給資格期間には反映されますが年金額の計算には反映されません。
免除期間と異なり、猶予期間はその期間に相当する年金額が0になるので、余裕ができたら追納してください※10年以内です
学生納付特例制度
日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生で本人の所得が一定以下の場合は在学中の保険料の納付が猶予されます。
学生本人の所得が対象なので、家族の方の所得は関係ありません。
この期間は、受給資格期間には反映されますが年金額の計算には反映されませんので、就職するなどして余裕ができたら追納してください。
こちらも10年以内です。
厚生年金の受給条件
厚生年金は、以下の2つをどちらも満たしていると原則65歳から年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)を受給できます。
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている
- 厚生年金保険の加入期間が1年以上
老齢基礎年金の受給資格期間は、上記受給資格期間「国民年金」と同じです。
受給資格期間短縮のメリット
受給資格期間が25年というのは、とても長く、年金を納めるのが難しいと感じ、老後年金の受給を諦めてきた人は多かったでしょう。こういった人たちにとっては、受給資格期間が10年以上に短縮されたのは、朗報です。
また、受給資格期間短縮によって年金を納める人が増えると言われています。ただし、日本の少子高齢化の問題は抱えている状態です。年金問題は今後も継続して社会の課題となるでしょう。