投資信託取引で確定申告は必要? 発生利益に掛かる税金について解説

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投資信託で発生した利益は課税対象となります。しかし、投資信託で得た利益に関して、必ずしも確定申告が必要になるわけではないということをご存じでしょうか。

この記事では、投資信託取引における確定申告について解説します。

投資信託で確定申告は必要?

投資信託の基礎

投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家の手により株式や債券などに運用し、運用成果が投資額に応じて分配される金融商品のことです。投資信託により得られる利益は、大きく2種類に分類されています。

【分配金】

投資信託運用によって得た利益を、決算ごとに投資家に分配するお金です。分配金には、個別元本を上回った利益を分配する普通分配金と、決算後に個別元本が減少した際に払い戻される特別分配金(元本払戻金)があります。

【譲渡益】

投資信託を売却(解約)した際に得られる利益を指します。

特定の条件を満たせば確定申告は不要

投資信託における分配金や譲渡益に対して課せられる税金は「申告分離課税」に該当します。申告分離課税に該当する場合、他の所得とは分離して税額を計算する必要があり、本来であれば確定申告が必要です。ただし、以下の条件を満たすことで確定申告の必要がなくなります。

  • 年間の利益が20万円以下の場合
  • 運用利益が発生しなかった場合
  • 源泉徴収ありの特定口座を開設している場合

それぞれについて詳しくみていきましょう。

①年間の利益が20万円以下の場合

投資信託で得た利益が20万円以下であれば、確定申告不要制度の条件に該当するため、確定申告を行う必要はありません。

②運用利益が発生しなかった場合

投資信託の課税対象は利益にのみ課せられます。運用が上手くいかず、損失が出てしまった場合には課税対象が存在しないため確定申告を行う必要はありません。

③源泉徴収ありの特定口座を開設している場合

投資信託を始める場合には銀行や証券会社に口座を開設する必要があり、「一般口座」と「特定口座」を選択することができます。特定口座とは納税申告手続きを簡略化することができる口座であり、源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類を選択することが可能です。

源泉徴収ありの特定口座であれば、本人に代わり金融機関が源泉徴収し税金を納付するため確定申告は不要となります。

【投資信託における口座の選択肢】

  年間の損益計算  確定申告の有無
特定口座(源泉徴収あり)   販売金融機関    必要なし
特定口座(源泉徴収なし)   販売金融機関    必要
一般口座   投資家本人    必要

口座開設の際には確定申告の必要がない特定口座(源泉徴収あり)を進められることが多いでしょう。口座開設後の移行も可能ですが、手間の少ない特定口座(源泉徴収あり)を選択すると良いかもしれません。

投資信託において確定申告が必要なケース

一般口座や源泉徴収なしの特定口座を選択する場合以外にも、確定申告が必要になる事例があります。

損益通算

1年間に投資信託で発生した利益と損益を通算することです。複数の金融機関を利用して投資信託を行う場合、投資の結果次第では損益通算することで納税額を抑えることができます。

また、損益通算の結果損失額が上回ってしまう場合には、確定申告を行うことで3年間の繰越控除が可能です。

〈参考〉国税庁「損益通算」

配当控除

投資信託の分配金などの税額を控除する制度です。投資信託の配当金には投資家に支払われる以前に法人税が課せられており、分配後の配当金に所得税や住民税が課税されることにより二重課税となります。配当控除は二重課税を調整するための制度です。

配当控除を受けるためには、配当金を総合課税として確定申告する必要がありますが、総合課税の課税基準は源泉徴収や申告分離課税と異なり、所得次第では必ずしも配当控除が有利になるとは限りません。配当課税の申請を検討する場合には、自身の所得と照らし合わせ、事前に計算するようにしましょう。

〈参考〉国税庁「配当所得があるとき(配当控除)」

まとめ

投資信託で得られる分配金や譲渡益には税金が課せられますが、ほとんどの場合において確定申告の必要性はありません。ですが、特定の条件によっては確定申告を選択することで納税額を抑えることが可能です。

投資信託における納税方法に迷っている方は、自身の所得や必要な手続きを総合的に判断した上で、最も有利な方法を選択しましょう。

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