【所得税の所得控除】医療費控除の対象と計算、適用方法を解説

医療費の負担が大きいときは、医療費控除で所得税を減額、または既に納めている所得税の還付を受けることができます。医療費控除とは何か、概要と対象の医療費、計算方法などについて確認していきましょう。

医療費控除とは

事業で所得のある人、不動産経営で所得のある人、会社から給与を受け取っている人、など、所得のある人は年間の所得額を申告して納税しなければなりません(給与所得者は勤務先が代わりに所得税を調整してくれる年末調整で所得税の課税関係は終了します)。

所得額を申告して納税するときに、所得税の計算上、所得から控除(所得を減額)できるのが、所得控除です。所得控除は全部で15種類あり、そのひとつに、「医療費控除」が含まれます。

医療費控除は、所得税の納税者または納税者が扶養する家族の医療費のうち、一定額を超える負担分を所得から控除することで、医療費負担を所得税の計算上加味しようとするものです。

医療費控除の対象になる費用

一般的に医療費といわれるものでも、そのすべてが対象になるわけではありません。医療費控除の対象になる費用は、以下のようなものです。

  • 医師や歯科医師に支払う診療報酬
  • 治療や療養に必要な医薬品代
  • 病院や診療所、介護施設での人的サービスの費用
  • はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師への施術費用
  • 療養で必要な保健師、看護師などへの報酬
  • 助産師の分娩介助の報酬
  • 介護保険制度による施設利用料
  • 診療に必要な通院費(基本的には公共交通機関)
  • 入院時の部屋代や食事代
  • 医師による治療に必要な義手、義足、補聴器、眼鏡など
  • 医師よりおむつ使用証明書の発行を受けたときのおむつ代  など

基本的に、治療を目的にした医療機関や施設の利用などについては、医療費控除の対象です(自由診療が対象になることもあります)。

大半は、治療を受けたら医療費控除の対象になると考えて問題ないですが、歯科医での診療や治療が医療費控除にあたるかは特に判断が難しいところです。同じ治療でも歯科材料などで医療費控除に含まれるかどうか異なります。一般的な治療は医療費控除内と考えて問題ないですが、高額な治療や審美と考えられる歯科矯正は医療費控除できませんので注意しましょう。

医療費控除の詳細や対象について詳しく知りたい方は以下を参照ください。

医療費を支払ったとき|国税庁

医療費控除の対象にならない費用

医療費に類似するようなものでも、医療費控除の対象にならないものもあります。たとえば、以下のような費用です。

  • 健康診断の費用
  • 予防注射の費用
  • 医師や看護師などに対する謝礼
  • サプリメントなど健康増進を目的としたものの購入費
  • 自家用車で通院したときのガソリン代
  • 自家用車で通院したときの駐車場代
  • 洗面具など入院に必要な身の回り品の購入代金
  • 個人的な都合による差額ベッド料金
  • 親族に対する付添料
  • 体を整えることを目的とした、はり、きゅう、整体、マッサージなどの費用
  • 美容整形の費用  など

基本的に治療を目的としないもの、予防目的や美容整形などの費用は医療費控除の対象になりません。

迷いやすいのは、病院に通院するための交通費です。公共交通機関での移動は医療費控除の対象ですが、自家用車での移動は対象にできません。また、タクシー代も、医療機関までの交通手段に公共交通機関が利用できない場合、緊急性が高い場合には認められますが、通常は含められませんので注意しましょう。

医療費控除の上限と節税効果

医療費控除の上限は200万円です。所得から控除できる医療費控除の額は、以下の計算式により求めます。

支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされた額-10万円※=医療費控除の額

保険金などで補てんされた額とは、生命保険契約で支給された保険金、健康保険から支給される高額療養費、などのことです。実際に負担した額をベースに計算します。また、実際に負担した額を出したあと、通常は10万円を差し引きますが、総所得金額が200万円以下のときは、10万円ではなく総所得金額の5%の金額を差し引きます。

所得税率は、5~45%の累進課税ですので、所得税率に対応した節税効果が見込めるでしょう。

(例1)総所得金額150万円、医療負担額20万円(補てん額なし)

医療費を考慮しない場合:150万円×5%(税率)=75,000(所得税額)

考慮した場合:150万円-(20万円-(150万円×5%))×5%(税率)=68,750円

節税効果:75,000-68,750=6,250円

(例2)総所得金額5,000万円、医療負担額150万円(補てん額40万円)

医療費を考慮しない場合:5,000万円×45%(税率)-479.6万円(控除)=17,704,000

考慮した場合:5,000万円-(150万円-40万円-10万円)×45%-479.6万円=17,254,000

節税効果:17,704,000-17,254,000=450,000円

医療費控除の申請方法

医療費控除を適用したい場合は、年末調整を受けている人でも、確定申告が必要です。医療機関からなどの領収書をもとに、医療費控除の明細書を作成し、確定申告書に添付して、住所地を管轄する税務署に提出します。

まとめ

医療費控除を受けるには、年末調整を受ける会社員も確定申告が必要です。医療費負担が大きいときは、忘れずに確定申告をするようにしましょう。

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