特定支出控除とは?対象になるケースと節税効果を解説

この記事では、条件を満たす会社員が利用できる「特定支出控除」について解説します。会社員は基本的に所得から経費を差し引くことができませんが、特定支出控除の対象範囲に当てはまっていれば、仕事にかかった費用を所得から差し引くことができます。

実際に活用するには少々ハードルの高い制度ではありますが、仕事に必要な自腹の額が大きい場合は節税できる可能性があるので、どのような制度なのか知っておきましょう。

特定支出控除とは?

特定支出控除とは、会社員が業務に必要なものを自己負担で購入した場合に、その金額が所得額から控除される制度です。

会社勤めの給与所得者の場合、基本的には必要経費は会社が負担しますが、業種によっては資格取得のための費用や交際費を自分で支払う場合もあるでしょう。

このような場合、給与支払者(会社)に申請し「特定支出に関する証明書」を貰えれば、特定支出控除を受けることができます。

かつては適用範囲が厳しく恩恵を受けられる人が少ない制度でしたが、2013年度以降、適用範囲が広がりました。

特定支出控除の対象範囲

特定支出控除の対象となるのは、通勤費や転勤の際にかかる引っ越し代、資格を得るためにかかった費用や、仕事に必要な資料、道具、洋服などの「職務に必要な費用全般」です。

具体的に対象となる項目は次の通りです。

種別用途
通勤費通常必要であると認められる通勤のための支出
転居費転勤に伴う転居のために通常必要であると認められたられた支出
研修費職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
資格所得費職務に直接必要な資格を取得するための支出
帰宅旅費単身赴任などで、勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出
勤務必要経費その他の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの
図書費書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用
衣服日制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用
交際費等交際費、接待費その他の費用で、職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他の支出
特定支出控除の対象となる項目

令和2年以降は、勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行で、給与の支払者により証明された、通常必要な支出(職務上の旅費)も特定支出になります。

特定支出控除の控除額

給与所得控除を利用する場合の控除額の計算方法は、次の通りです。

まず、上記6種類の特定支出額を集計します。

この額がその年の給与所得控除額の2分の1(半分)を超えていた場合に、その超えていた分の金額が「特定支出控除額」となります。

夫婦と16際以上の子供2人の家庭の場合、最低でも所得控除額152万円あるので、この場合は”仕事に必要な経費のうち自腹で支払った金額が76万円を超えたら”、その超えた分の額が特定支出控除額として所得から控除されます。

特定支出控除の申請方法

特定支出控除は、年末調整では適用することができません。

以下の書類を用意し、自分で確定申告をすることになります。

  • 特定支出の明細書
  • 給与支払者の証明書
  • 特定支出の金額の証明書

特定所得控除を考える方は、年末近くで考えたのでは間に合いません。特定支出が予想される場合は、年初から明細書を作り領収書などの証明書の保管が必要です。

特定支出控除の利用者が限られる理由

このように特定支出控除は会社員の所得額を安くすることができる制度ですが、実際に活用している会社員はごくわずかです。

特定支出控除の利用者が限られる理由としては、次のことが考えられます。

  • 勤務先に証明書の発行を依頼しなくてはならない
  • 確定申告が必要
  • 節税額がそこまで大きくない

勤務先に証明書の発行を依頼する必要がある

特定支出控除を申請するには、会社から「あなたの出費は仕事のために必要なものです」と認めてもらわなくてはなりません。

そのためには「給与所得者の特定支出控除に関する証明書」を書いてもらう必要があり、申請手続きを個人ですべて行うことができません。「会社に証明書を書いてもらう必要があると思うと申請しづらい」という人もいるでしょう。

確定申告が必要

確定申告というと「複雑な書類作成が必要なイメージがある」「これまで会社に任せていたから何もわからない」という人も多いのではないでしょうか。

特定支出控除の適用を受けるには、会社員であっても確定申告が必要になります。会社の年末申請で制度が利用できないため、申請を躊躇っている人もいるかもしれません。

節税額がそこまで大きくない

会社に証明書を記入してもらい、確定申告をしたとしても、正直なところ、よほどの経費額でなければ、節税額はそこまで大きくなりません。申請にかかる労力を考えると「まぁいいか」となってしまう人が多いのも頷けます。

まとめ

特定支出控除は、自腹で仕事に必要なものを購入した金額が一定よりも多い場合に、特例として、会社員でも所得額から経費を差し引くことができる制度です。

ただし、申請には確定申告が必要になること、経費額が相当高額でない限りは節税効果がそこまで高くないことから、実際のところ利用率はあまり高くありません。

「確定申告ってむずかしそう」という理由で制度の利用を躊躇っているという方は、こちらの記事で解説していますので参考にしてみて下さい。

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