キャッシュレス決済が始まった背景|なぜ日本は遅れているのか




世界的にキャッシュレス決済が普及しています。 経済産業省の資料によると、2016年時点でのキャッシュレス化は、先進国を中心に40%以上となっています。中でも韓国は96.4%と圧倒的な比率です。

一方で日本は19.9%(ドイツも15.6%)と低く、消費税増税に合わせて国はキャッシュレス化を進めようとしています。

キャッシュレスには、クレジットカードや、SuicaやPASMO等の交通系IC、スマホ決済等、様々な手段が存在しています。この記事では、キャッシュレス決済が始まった背景について解説いたします。

キャッシュレスの歴史

現金を使わない決済手段であるクレジットカードは、1950年代にアメリカで始まりました。 1960年代には日本でも、現在のエポスカード、OMCカード、クレディセゾンカード、ニコスカードの元となるカードが発行されました。

ソニーでは、1987年からカードを検出装置にかざすと決済できる非接触システム「FeliCa」の研究をスタートし、2001年に電子マネー「Edy」が誕生しました。この後、現在でも最もポピュラーな交通系ICである「Suica」に発展していきます。

「Edy」は、ドコモの携帯電話に採用された「おサイフケータイ」が誕生してから、当時としては日本のキャッシュレス決済の先頭にいました。

しかし、「Edy」は商売繁盛のツールとして期待され、一時は商店街全店で「Edy」を導入するなど流行しましたが、キャッシュレス決済の進展までには至りませんでした。

またその後、日本では携帯電話、いわゆるガラケーよりiPhoneを始めとする海外のスマホが主流となりますが、当時のスマホには日本の規格である「FeliCa」は採用されていません。

その代わり、交通系ICカードの利用が広まりましたが、世界の先頭を行く「おサイフケータイ」は中断の状態になり今日に続いています。

世界のキャッシュレス決済の進展

アメリカ、西欧、韓国などでクレジットカードの利用が広まっています。 中国では、インターネットやスマホが急激に発展し、これらを組み合わせて安価にできる「QRコード」を利用した電子マネーが急激に広まっています。 この理由として、以下があると言われています。

  • 8億人を超えるスマホ利用者
  • QRコードを使った安価な決済システムの開発
  • 便利なECの進展とアリババ等のネット企業の発展
  • キャッシュレス決済による生産性の向上
  • 現金についての低い信頼性など

中国の電子マネーを使ったキャッシュレス決済は、中国人の海外旅行(アウトバウンド)と共に中国を超えて広がりそうです。

日本のキャッシュレス化の遅れ

日本では、下記の理由によりキャッシュレスの必要性が相対的に低いと言われています。

  • 紙幣の偽造防止技術の水準が高く、偽札の流通が極めて少ないなどの理由による「現金の高い信頼性」
  • 現金を扱う環境(ATMや金融機関)の良好な整備
  • 現金決済システムの良好な整備(POSなど)
  • 地域密着型の小型店舗(小売業や飲食業など)
  • 災害が多いので現金確保が必要など

などの理由により、現金決済を好んで利用している方が多いと考えられます。
しかし、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博を控え、近い将来で日本でもキャッシュレス決済が進展しそうな状況になっています。

  • 世界キャッシュレス化に日本も追従(世界との交流に必要)
  • インバウンド消費の取込み
  • キャッシュレス化による生産性の向上
  • キャッシュレス化による新産業の育成
  • 金融機関の収益性の悪化による店舗統合(現金環境の低下)
  • 全国的なチェーン店の拡大など

外国人観光客が増加することが予想されるので、キャッシュレス決済をメインにしている観光客に「現金決済のみ」では機会損失となります。

日本のキャッシュレスビジョン

経済産業省は、平成30年4月キャッシュレス化に向けた「キャッシュレス・ビジョン」を発表しており、キャッシュレス推進を図る目的に以下を示しています。

  • 実店舗等の無人化省力化
  • 不透明な現金資産の見える化
  • 流動性向上
  • 不透明な現金流通の抑止による税収向上
  • 支払データの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化等
  • イノベーションを活用した新たなキャッシュレス化を実現するサービスの登場など

以上を認識した上で、国の方向性を以下のように示しています。

  • 実店舗等におけるキャッシュレス支払導入にかかるボトルネック解消
  • 消費者に対する利便性向上と試す機会の拡大
  • 支払サービス事業者のビジネスモデル変革を後押しする環境整備
  • 産官学によるキャッシュレス推進の強化
  • キャッシュレスを起点として、新産業の創造

消費者の立場でキャッシュレス決済を見ると、基本的には肯定される方が多いと思われます。

店舗から見るとキャッシュレス決済の導入には、費用がかかるので導入に意見が分かれます。

導入費用は装置や加入料の初期費用と販売金額ごとにかかるランニング費用(手数料)があります。

初期費用は助成等があるのですが、やはりネックになるのは販売価格に数%の費用がかかるランニング費用(手数料)です。
特に小型店舗は利益が少なく、数%の手数料を支払うと利益がなくなる心配があるため、慎重にならざるを得ません。

一方で、スマホアプリでのキャッシュレス決済は、競争も激しく手数料が安くなっています(例えばPayPayは一定期間ですが無料など)。 このことから、店舗でスマホアプリでの導入が容易になり、これをきっかけに導入する店舗が増え、消費者の利用もしやすくなるので、スマホアプリ決済がキャッシュレス決済の普及の背景になりそうです。

まとめ

いかがでしょうか。今回は、キャッシュレス決済の歴史についてご説明しました。

ネット社会が発展している現代では、キャッシュレス決済が主流になりつつありますが、完全にキャッシュレス化となるには、まだ問題がありそうです。

また、歴史としてはまだまだ浅いキャッシュレス決済ですが、日本でも今後はキャッシュレス決済がメインとなることが見込まれますので、ぜひキャッシュレス決済のメリットを理解して利用するとよいでしょう。