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消費税引き上げ後、ポイント還元制度(正式名所「キャッシュレス・消費者還元事業」)が開始され、キャッシュレス決済が更に浸透するようになりました
先進国を中心にキャッシュレス決済が進展しており、世界では9割超えの比率でキャッシュレス化が進んでいる国もあります。一方、日本の比率は2割程度なのでキャッシュレス後進国と言えます。
東京オリンピックも控えこれから更にキャッシュレス化が加速していくと言われていますが、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
キャッシュレス決済については下記ページで説明しましたが、本ページでは消費者と店舗目線でメリットとデメリットを紹介していきたいと思います。
▶ キャッシュレス決済をはじるための基礎知識|増税・ポイント還元制度
消費者から見たメリット
消費者から見るとキャッシュレス決済には、以下に示すメリットがあります。
現金を持ち歩かなくて良い
キャッシュレス決済を利用すると、買い物やサービス受給時に現金が不要になり、金融機関やATMに行き現金を引き出す必要もなく、手数料も節約できます。
お財布に、現金を少し入れておけば良いので軽く、移動が楽になるメリットがあります。
さらにスマホ決済アプリを利用すれば、クレジットカードやポイントカードを減らせるので、お財布をさらに軽くし、高額の買い物を除けばスマホだけでも生活できるようになります。
時間の節約
買い物時でもレジが早くなりますが、大きなメリットはサービスを受ける時の支払いが早く済むことです。
例えば、SuicaやPASMOなどの交通系カードは、チャージ金だけあれば、支払い時に現金を出し釣銭を受け取る行為がないため、買い物や交通機関がスムーズに利用できます。
このようにキャッシュレス決済は、時間を節約する大きなメリットがあります。
管理が容易
現金での買い物でもレシートが残りますが、管理するためには通常再入力することになり手間がかかります(レシートをカメラで読み込み自動入力できる会計アプリもあります)。
キャッシュレス決済は、必ず利用履歴が残るので家計管理が容易になり、更に時間も節約できるメリットがあります。
現金より安全
現金も紛失した場合は、戻ってくることが多くなっていますが、高額は別として盗難になると戻る可能性はほとんどなくなります。
スマホやカードも紛失や盗難の危険性はありますが、セキュリティや保険で現金よりは安全性が高いです。
仮にクレジットカードが悪用されていたとしても、 不正利用に気付くまでのあいだに使用された分の金額は、カードに付帯している盗難保険によってカバーしてもらえるので、焦ることはございません。一般的には不正利用に気付いた時点から60日前までの利用分は補償してもらうことができます。
三井住友カード
特典がある
現金でもポイント特典もありますが、キャッシュレス決済にもポイントが付与されるので2重のメリットがあります。
さらに、消費税の引き上げに伴い来年6月までと期間が限定されますが、国のキャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)が実施されていて店舗によっては消費税の引き上げを埋めるメリットがあります。
消費者から見たデメリット
キャッシュレス決済は前述したようなメリットがありますが、デメリットもあります。
災害時には使えない
日本は災害の多い国で、長期間停電になる恐れがあります。
当然、停電になるとキャッシュレス決済が使えなくなるデメリットがあります(生活すべてに影響が出ます)。
海外では現金を使わないで生活できる国も増えていますが、日本では現金も生活の一部では必要です。
使いすぎの恐れがある
キャッシュレス決済は、現金がなくても買い物やサービスを受給できるため、人によっては金銭感覚が鈍くなり、使いすぎになる可能性があります。
実際にキャッシュレス社会を反対する意見の多くに「浪費しそう」「お金の感覚が麻痺しそう」など現金を持たないことによる、金銭感覚の麻痺を危惧するものがありました。
▶出典: 博報堂生活総合研究所 「お金に関する生活者意識調査」|博報堂生活総合研究所 (2017年12月15日)
高齢者などITに疎い方には使いにくい
高齢者はITに疎い言えない時代になっていますが、情報格差ががなくなるわけではなく、様々なアプリによるキャッシュレス決済サービスがあるため、スマホの操作方法も覚束ないような方達にとっては使い辛いと考えます。
(全てのキャッシュレス決済で弱者になるわけではありません)。
日本では少ないのですが、銀行口座を作れない方はキャッシュレス決済はデメリットになります(生活自体が困難になります)。
信用スコアの一人歩き
キャッシュレス決済の履歴から「信用スコア」を付与される可能性があります。
まだ日本では、信用スコアによる生活の不具合は出ていませんが、海外旅行では出会う可能性があります(国によっては飛行機やホテルなどの予約の優先度の低下など)。
一般に、信用スコアなどは当人とは別に付与されるので、その正統性の確認や問題があった場合の修正が困難なデメリットがあります(現時点では信用スコアは、表面化していません)。
ネット化の危険性
ネットで全てがつながる時代は、悪意のある他人に財産を探られる恐れがあります。
現金の被害は所持している分だけですが、ネットにつながると全ての可能性があります。
キャッシュレス決済用の専用口座を作り、必要な分しか入れない、あるいは不要な口座は登録しないなどの自衛対策が必須になります。
店舗から見たメリット
店舗等提供側から見るとキャッシュレス決済には、以下に示すメリットがあります。
生産性の向上
キャッシュレス決済によるレジの混雑残和やスピードアップにより、人手が少なくて済むなど生産性の向上が図れるメリットがあります。
混雑する店舗では、売り上げ増につながるメリットもあります。
売り上げ管理の向上
現金が少なくなる分、 その取り扱い(銀行への入金など)や盗難・万引などの対応ができ、売り上げ管理も容易になるため人件費削減になるもメリットがあります。
外国人旅行者(インバウンド)の取り込み
キャッシュレス決済が進展している国の旅行者を取り込み、売り上げ増になるメリットがあります。
今回政府が打ち出した、キャッシュレス推進を図る制度の背景として、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、さらに2025年の大阪・関西万博に向け、訪日外国人観光客がストレスなく観光でき、消費機会の損失を逸失しない為の思惑もあると考えられます。
▶参考:「明日の日本を支える観光ビジョン」|国土交通省観光庁
店舗から見たデメリット
キャッシュレス決済は前述したようなメリットがありますが、デメリットもあります。
災害時には使えない
消費者と同じく店舗でも現金の用意が必要になるなどデメリットになります。
情報・通信技術の利用が困難な方への対応
キャッシュレス決済を使わない方へ、販売を拒否することは不可能なので、その方への対応は必須で2重の手間がかかる可能性があります(全てをキャッシュレス化するのは可能かもしれませんが、一部に店舗に限られます)。
費用がかかる
初期費用については国の支援・助成等がありますが、キャッシュレス決済には代金の2%〜5%ぐらいの手数料がかかります。
小規模店舗の利益率は低いので、この手数料の負担はキャッシュレス決済のデメリットになります。
このため、小規模な全国200万店舗のうちキャッシュレス決済を導入したのは50万店舗と報道されています。
▶出典:産経新聞
スマホ決済アプリは事業者が多く競争が激しいので、手数料は低下傾向にあり、ここをキーとしてキャッシュレス決済が進展する可能性はあります。
消費者側には、手数料がかかるデメリットはありません。