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海外でキャッシュレス決済が急速に広まっています。 日本のキャッシュレス決済の始まりは、海外に比べると早かったものの、普及率は大きく出遅れています。
キャッシュレス決済が広まっているということは、メリットがあり、かつ、海外の人々と交流(インバウンド、アウトバウンド)していく上で無視できません。 今回は、海外のキャッシュレスの現状を紹介します。
キャッシュレス決済比率
経済産業省の資料によると、現金以外の支払いが占める割合を示すキャッシュレス決済比率は、各国で下表にようになっています。
国名 | 2015年 | 2016年 | 比率の差 |
---|---|---|---|
韓国 | 89.1% | 96.4% | 7.3% |
イギリス | 54.9% | 68.6% | 13.7% |
中国 | 60.0% | 65.8% | 5.8% |
オーストラリア | 51.0% | 58.2% | 7.2% |
カナダ | 55.4% | 56.3% | 0.9% |
スウェーデン | 48.6% | 51.5% | 2.9% |
アメリカ | 45.0% | 46.0% | 1.0% |
フランス | 39.1% | 40.7% | 1.6% |
インド | 38.4% | 34.8% | -3.6% |
日本 | 18.4% | 19.9% | 1.5% |
ドイツ | 14.9% | 15.6% | 0.6% |
この表では、インドだけが2015年から2016年の間で減少していますが、その他の国は増加しています。 以下に、国別(5ヶ国)に現状について詳しく紹介します。
海外でキャッシュレスを使う場合、もしも悪用された時のための保険や補償はありますか?
海外旅行などの一時的なものである場合は、海外旅行保険などで補償を持つことも可能です。
また、有料のクレジットカードなどであれば、カード付帯サービスなどで補償される事もあります。
クレジットカードの利用頻度や提携サービスなども確認しながら、判断をしてみて下さい。
韓国のキャッシュレス決済の背景
韓国は、国をあげての取り組みがあるため、世界の中でもキャッシュレス決済比率でトップにいます。
国がキャッシュレス決済を進める背景として、1997 年の東南アジア通貨危機の打開策において、実店舗等の脱税防止や消費活性化を目的とした、政府主導による以下に示すような取り組みと実績が高度な普及の背景にあります。
- 〇クレジットカード利用分の所得控除
- 給与所得の10%を超えると、その超えた額の10%が控除されます。
- 〇宝くじ権利付与
- クレジットカード利用控えについている番号を対象にして、毎月1回(年間12回)抽選会が行われます。
- 〇店舗でのクレジットカード取扱義務付け
- キャッシュレス決済がどの店舗でも可能
- 〇硬貨発行の削減に向けた電子マネーの活用
- 消費者が現金で買い物をした際には、おつりを直接その人のプリペイドカード等に入金、釣銭を出ないようにする。
イギリスのデビットカードによるキャッシュレス化
イギリスは、かつて小切手社会と呼ばれていて、キャッシュレス化の進んでいる国でした。
1987年に登場したデビットカードは、その利便性から小切手利用を代替する形でその支払回数・金額を伸ばしていきました。
そして、2007年に登場した非接触型のICカードが交通系「オープンループ」や店舗でタッチして使えるようになり、小切手社会からキャッシュレス社会に進展していきました。
特に、イギリスではデビットカードが普及しており、ほとんどの人がデビットカードを所有して頻繁に使われているとのことです。日本ではデビットカードはまだそこまで普及していないので、この点でイギリスとのキャッシュレス決済の差があるといえます。
中国のスマホキャッシュレス
2002年、中国人民銀行が主導し80以上の金融機関が共同して金融企業を設立し、そこで発行したのが銀聯カード(キャッシュカード及びクレジットカード)です。 日本でいう「キャッシュカード」は、中国では「銀聯カード」を示し、銀行口座を保有しているすべての人がこの「銀聯カード」を所有できます。
銀聯カードは、中国以外にも、日本・アメリカ合衆国・大韓民国・タイ・シンガポール・ドイツ・フランス・オーストラリアなど、約20カ国に加盟店を広げており、VisaやMasterCardの様な国際カードになってきています。
また、中国は通信インフラが遅れていたことがあり、スマホ所有者が急激に増加しました。特に、2012年ごろから爆発的にスマホが普及し、2019年には8億人を超えるようになりました。
スマホにおけるキャッシュレス決済では、ネット通販大手のアリババ系の「支付宝(アリペイ)」と、IT大手の騰訊(テンセント)系の「微信支付(WechatPay)」がそれぞれ専用アプリを用いて決済を行うようになり、スマホアプリでのキャッシュレス化の先頭にいます。
また、ソフトバンクとヤフーの合弁会社PayPayは、アリペイと連携しPayPayの加盟店では、アリペイが使えるようになるそうです。
スウェーデンはSwish必須の生活に
スウェーデンは、金融機関中心に国家を挙げた生産性向上、冬季期間の現金輸送の困難さや慢性的な人手不足、犯罪対策としてのキャッシュレス化を推進しています。
スウェーデンでのキャッシュレス化は、デビットカードから始まり、スウェーデンの大手銀行(複数)が立ち上げたスマホ決済アプリ「Swish(スウィッシュ)」に移ってきています。
交通機関や公衆トイレなどは現金を扱わないようになってきており、日常生活でSwishが必須になっています。
スウェーデンの銀行の多くは現金の預金を受け付けていないとのことで、デビットカードやSwishアプリにより、現金を持ち歩かない人が増えているとのことです。
Swishの特徴としては、少額な支払いで決済ができること、そして、リアルタイムでの決済が可能で現金の代替ができること等があります。 Swishは、交通機関や店舗等に加えて個人間のやり取りにも使え、生活すべてで使えることからスウェーデンをキャッシュレス社会へ導き、2025年には現金決済がなくなるだろうと予測されてます。
ドイツ
ドイツは、先進国では日本と並んで現状ではキャッシュレス決済比率が低い国です。
ドイツと日本がキャッシュレス決済の比率が低い理由として、両国とも治安が良く、現金に信頼があるため現金を利用するのに問題がない(キャッシュレス化の遅れ)からではないかと考えられます。
しかし、ドイツでは、日常的な少額の支払では現金の利用割合は高いものの、現金一辺倒ではなく、支払額が大きくなるとデビットカードの利用が増えるようです。50ユーロ以上の支払では、デビットカードでの決済が一位となっており、決済方法の使い分けの傾向にあるようです。
海外のキャッシュレスを運営している会社に、日本人でも投資できますか?
証券会社によって取り扱いできる商品に差はありますが、日本で投資する事は可能です。
個別株について情報を得る事が難しい場合、テーマタイプの投資信託などを選択する事で投資する事も可能になります。
キャッシュレスは今後広がりを見せると思います。投資の目線から見て、キャッシュレスの会社に今から株式投資をしておくべきでしょうか?
今後拡大する事が見込める分野となりますので、投資対象とすべきかと思います。
ビットコインなどの仮想通貨などのように、情報技術の革新によりマーケットが一変する可能性も高い分野となりますので、他の分野に対する分散投資も検討するとよいでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、日本以外の海外のキャッシュレスの現状についてご紹介しました。
各国でキャッシュレス決済の傾向が異なりますが、現状ではどの国でもキャッシュレス決済が広く普及しつつあるようです。
日本においても、今後はキャッシュレス決済がさらに普及することが見込まれています。どのキャッシュレス決済方法がよいのかを判断しつつ、自分にとって利用しやすい決済方法をとることがよいでしょう。